このマーケットコメントは、資産運用を職業とする国内外の機関投資家顧客向けに書いている落書き帳です。少し違った視点から相場を眺めている一人の声としてお楽しみ下さい!

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東証の新取引システム、arrowhead が稼動するまで少し。証券各社や東証のシステム担当者は正月返上状態でしょうけど、投資家サイドだけではなく、実際の現場から見ても、まだまだ「やってみないと分からない」ことがたくさんあります。今回は、そのなかでも証券会社の株式取引に関わるコストについて少し書いてみます。投資家から見れば直接的に支払うコストではないのですが、場合によっては、将来的に委託取引手数料が引き上げられる可能性もあり、その意味で影響を与えるかもしれない話です。

arrowheadロゴ ● まずは東証HP内、「新システム導入に伴う取引参加料金の見直しについて」をご覧頂きましょうか…。この"取引参加料"は、証券会社が東証などの取引所において取引することについて支払うコストのことです。ショバ代の一種ですね(^^;。投資家が直接的に支払う費用ではありません。注目して欲しいのは、これは「注文件数」に対するコストで、「約定件数」に対するコストではない、という点です。要するに不出来注文(含取消注文など)に対しても、証券会社にとってはコストが掛かっているってことです。

● そのなかの項目に"アクセス料"というのがあるのですが、これが意外に影響を与える可能性がある要素です。現在のシステムだと、月間注文件数が400万件超の場合、一律で660万円でした。つまり、400万件のところで注文1件の注文あたり1.65円のチケットコストとなり、そこから上は、注文件数が多ければ多いほど、注文1件あたりのコストはかなり下がる構造になっていました。ところが、arrowhead の導入とともに、この料率テーブルが変更され、注文件数の打ち止めはなくなり、スライド制に変更になります。具体的には、例えば月間注文件数が1000万件だったりする証券会社は、これまで上限打ち止めのおかげで、注文1件あたりのコストがかなり低く抑えられていたのが、今後は注文件数スライド制に変更になることで、そのメリットをかなり失うことになるのです。

● まぁ、もともとこの手の料金体系としては、量とコストはある程度比例しているのが当然と言えば当然なので、このこと自体は仕方が無い話なんでしょう。しかし、それなりのサイズの証券会社、特にハイ・フリクエンシー・トレードを頻繁に実施する顧客を抱えている外資系証券や、小口注文が多いネット証券にとっては、デメリットとなる可能性が大きく、さらに、そのデメリットがどう最終投資家サイドに反映される事になるか(委託取引手数料値上げ?)は、やっぱり「やってみないと分からない」んです(^^;。

● 実際問題、月間注文件数が400万件と言われても、それがどんな規模なのか良く分からないと思います(^^;。かのライブドア強制捜査事件(2006年1月)をきっかけに、東証が一時取引停止に追い込まれたあと、しばらく注文件数/約定件数が発表されていた時期があったのですが、現在はそれは無くなったようです。あの頃で、注文件数は1日600万件とかありました。当時、約定件数が1日400万件で取引停止なんて事態だったのですが(当時の東証リリース)、その後、東証のシステムも順次増強され、現在では、注文件数で1日2000万件超の能力がある状態になっています(直近までは調べてないけど、2年前でこのぐらいだった)。

● 現在の注文件数や約定件数が発表されていないので、あくまでも想像するしかないのですが、東証の取引参加者で、マーケットシェアから考えると、最も大きな証券会社で10%弱程度という点から考えると、毎日、約定件数で数十万件あってもおかしくありません。注文件数はその2倍とかになるのが普通なので、月間で見ると、1000万件超ある証券会社がいくつも存在していてもおかしくありません。TOPIXバスケットで1500銘柄程度入っているのは不思議では無いし、それを毎日何回も何十回もトレードしていれば、注文件数、約定件数ともにあっという間に1日で数十万回。月間ではその20倍です。ネット証券も含めて、そういった証券会社にとっては、今回のテーブルの改訂は間違いなく値上げになります。

● この話を書いても実感が沸かないかもしれませんが、証券会社にとっては、難儀な問題を抱えています。これまでもそうですが、証券会社は注文が約定しない限り、委託取引手数料は徴収できません。一方、不出来注文、取消注文などについても、証券会社にとっては費用が発生しているのです。これまでは、ある意味で不出来注文や取消注文については、コストを抱いてしまっても仕方が無い、という状態だったのでしょうけど、これがどう変化するかです。まぁ、しばらくは現状維持だとは思いますが、最悪のケースになれば、不出来注文や取消注文については、コスト負担という考え方が出てくる可能性も有り得るでしょうね。そうなれば、余計にマーケットは冷えるだろうし、そうすれば余計にコスト負担が辛くなるだろうし…。悪循環です。

● そんな悲惨な事態が発生しないことを祈っていますし、現時点では、可能性は比較的低いとは思うけど…。ネット証券なんかでも、成行注文と指値注文の手数料差をもっと大きくしたくなる可能性は有り得ますね。

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