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このマーケットコメントは、資産運用を職業とする国内外の機関投資家顧客向けに書いている落書き帳です。少し違った視点から相場を眺めている一人の声としてお楽しみ下さい!

2008年09月22日(月) .... 休暇中。高寄り後は横ばい

 TOPIX : 1168.69 (+19.57, +1.70%)    日経平均 : 12090.59 (+169.73, +1.42%)    円ドル : 106.45  

● 本日まで休暇中のため、マーケット・コメントはお休みです。

● 「いつまで休んどるねん!」って声が聞こえてきそうですが(^^;、5営業日の休暇取得義務ってことで今日まで休みです。まぁ、阪神が3連敗で追い付かれてしまったショックで出社拒否症になってしまった、ってコトにしておいてください(T_T)。まだ首位なんだけど…。

● と言うわけで相場。寄付き段階では米国株高などを受けて高く始まったものの、その後は横ばい。上値が重たかったと言えばその通りで、明日の休みも控えて「手出し無用」の空気が濃かったように感じました。どちらにしろ、日本の要因でマーケットが動いているのではなく、米国の金融界が主要因となって動いているだけに、受動的にならざるを得ない状態。ならば、もう少し先が見えるようになってからで良いか、というのは素直な反応だった気がします。日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。

● 休暇中に色々とネットを散策していて感じたのは、どうも「リーマン破綻」や「AIG危機」が相場に与える影響について、たとえ理屈として分かっていたとしても、体感するのが難しいって印象を受けました。これは止むを得ないとは思うものの、どこかの政治家が暴言を吐いていたように、「ハチに刺された」ってほど軽くはありません。金融業界だけの話でもありません。米国だけでなく、先進国の景気がスローダウンすると、一番ダメージを受けるのは製造業。アジア各国も先進国への輸出で稼いでいるのだから、ダメージを受けないワケがありません。では日本の内需はどうかって?駄目に決まってるでしょ!

● CDS(クレジット・デフォルト・スワップ、平たく言えば"倒産保険")が爆発しないように世界中が必死なのも、その複雑さ、仕組みもそうだけど、誰と誰が相手方でいくらの残高があるかという意味での複雑さ、から来る不安感・不透明感は、時間が経過しないと分からない面があるから。ぐちゃぐちゃに絡み合った糸を、切らないで解きほぐさないとならない状況で、だから一度隔離して、落ち着いて時間を掛けてやりましょう、というのが現在の状況。ここで誰かが糸を切ってしまうと、一気に全体が崩壊するリスクがあり、その場合はかなりエグイことになるのは、ちょっと考えれば分かります。リーマン破綻は、まさにその「糸を切る」行為の一つだったし、「AIG危機」を放置すると、糸を1本、2本切るどころではなく、グサっと大きな鋏で大量に断ち切ってしまい、糸玉が支えられずにばらばらに崩壊する、というエグイ状態になりそうだったからです。

● 「信用収縮」と「損失計上」のスパイラルについても、なかなか実感としては難しいところがあるのかも知れません。ここには抜け駆け売りの怖さがあります。例えば株価が500円で10億株の発行済み株式数のある銘柄が、誰かの1000株の売りで1円下がったとしましょう。それだけで、全体としては10億円もの損失が増加したことになるのです。1000株売った向きはたった1000円損しただけなのに…。信用が収縮して資金繰りがタイトになると、最初に行うのが現金を確保すること。多くの場合は資産の切り売りです。そうやって出てきた1000株の売りが、市場全体の他の保有者に大きな損を発生させてしまう可能性があり、そのために余計に売りを誘発してしまう。これが本当に怖い状況なんです。昨年夏からの相場では、1円どころの騒ぎではなく、いきなり半値で処分売却されてしまう債券などが頻発し、それが「想定以上の損失発生」に繋がったのです。時価会計ならば、一度、どこかで値が付いてしまうと、それで評価せざるを得なくなってしまうからです。

● こういった悲惨な状況が、今回の一連の「隔離策」で落ち着くかどうか?これは、正直、やってみないと分からない面があります。日本の金融危機の局面で痛んだのは日本の金融で、世界的には危機ではなかった点があります。さらに、日本国内で見ても製造業はそれなりに元気でした。山一證券が飛んで、三洋証券が飛んで、北海道拓殖銀行が…と続いたものの、製造業の大企業はそれなりの利益を出していたのです。今回は、世界の中心(敢えてそう書きます)の米国が危機に陥り、製造業でも自動車業などでかなりマズイ状況に陥りつつある点が違います。処理の素早さは、いずれやってくるだろう回復の素早さを連想させるものの、誰が牽引役になるかが見えないもどかしさもあるんです。2年後ぐらいに、「やっぱり、あそこが買い場やったなぁ~」と言えることを願うばかりです。ホンマ…。

● さぁ、休み明けの24日(水)から職場復帰です。ただ、やっぱり浦島太郎状態はその通りだし、まずはメールの整理からスタートすることになりそうです(^^;。

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