2008年09月03日(水) .... 指数はプラスでも相場にはかなりの歪み、リスク・リダクション止まらず
TOPIX : 1220.55 (+8.18, +0.67%) | 日経平均 : 12689.59 (+80.12, +0.64%) | 円ドル : 108.90 |
● 指数は上値が重たかったにしろ、1日中プラスで推移。それだけ見れば、「あっそ、良かったやん」って感じ(^^;でしょうけど、実際にマーケットの近くで少し違った視点で見ていると、かなり強い違和感を感じる1日でした。それは、何よりもファクター面から見た相場の歪みがかなり酷かったこと。フロー系のバリュー、短期のスペシフィック・リターン・リバーサル、元々期待していなかったとは言えグロースと、御三家が全てボロボロ。まだ詳細には調べていませんが、昨日と今日の2日間で、多分、今年一番強烈な歪みが発生した印象です。イメージとしては、-3σは超えてしまったかなという感じです。指数はプラスだったのに、相場内容にかなりの歪み。どこかで見た覚えがあります…(-_-;)。昨年8月第2週です。昨日と今日だけでは、昨年8月第2週ほどのえげつない状態には届かない規模。しかし、6月中旬からの流れを見ると、昨年8月の規模を既に超えてきています。
● 昨年8月はGSのグローバル・アルファという巨大ファンドの解約に端を発して、デレバレッジングの嵐が吹いたことで、相場が急速に歪む羽目に陥ったのです。ファンド解約そのものもそうだけど、皆が同じような投資戦略でパーティーに参加していたところ、急に地震が来て停電になったので一斉に出口に殺到という状況に似た格好になり、実際の解約や何やらにに輪を掛ける格好でマーケットインパクトが増幅されてしまったのです。それから1年超が経過した現在、それほど高いレバレッジを掛けているファンド(ヘッジファンドとプロップ部門)があるとは思えないなかで、昨日と今日の強烈な相場の歪み。何を意味しているのか、不安感が募ります。
● ロング・ショート系のファンドがアンワインド(ポジション解消)すれば、指数的なインパクトは限定的になるものの、相場内容には歪みが出ます。昨年8月もそうだったし、昨年11月もそう。今年3月もそうでした。昨日は指数がそれなりに下落したものの、今日は指数はずっと堅調。でも、相場の歪みはかなり強烈。その点から、ロング・ショート系のファンドがアンワインドと考えるのがストレートに思えます。もちろん、ロング・ショート系ファンドの大型設定でも似たようなことは有り得るのですが、現状で日本株市場に大きな資金が入ってくるとは考え難い状況。しかも、割安がより割安になる状況を見れば、アンワインド(≒撤退)と考える方が素直に思えます。そうすると誰が何をやっているのやら…。
● この辺の不安感、不透明感が多くの投資家を「リスク・リダクション」(リスク縮小)に走らせている感がありあり。フルインベストメントの機関投資家は、ポートフォリオをキャッシュにするわけにも行かず、ポートのリスクを下げるしか対応策が無い、という状態が強まっているのをヒシヒシと感じます。今週は月次のリバランスが多い週なので、余計にそう感じるのかも知れませんが、マーケットが不安定で流動性が落ちているだけに、中小型株へのインパクトも無視できません(今日は新興市場は軒並み大幅安)。
● 今日上昇した業種を見ると、食品、医薬品、電力・ガスなどが堅調だった一方で、商社、鉄鋼などはボロボロ。それぞれに原油下落やロシア状況など、ファンダメンタル理由を探すことは可能です。しかし、もっと全体に共通しているのは、今の市場でリスクを落とそうと試みた時に買われる銘柄群、売られる銘柄群ってこと。昼に債券トレーダーとも話をしたのですが、あちらでも「割安がドンドン割安になる」状況が起こっているとのこと。余裕があれば、「こんな時こそ逆張り」って刀を振り上げて立ち向かえるのですが、今のマーケットを見ると、その元気を感じるのは非常に困難です。ストレステストをやると、本当にストレスで倒れそうになる結果が出てしまうし、それ以上に、昨年8月を経験したことで、「有り得ない」が本当に有り得ないかどうか、誰も自信が持てなくなってしまった状態にあります。もちろん、今日が「底」だった可能性もあるのですが…。
● 記録。東証1部出来高は前日比5264万株増の19億3338万株、売買代金は同321億円増の1兆9940億円。東証1部値上がりは1069銘柄、値下がりは573銘柄。今朝の日経平均SQ値を計算すると、前日比115.17円高の12727.64円(9時12分確定)。日経平均の日中値幅は120.21円(前場110.89円、後場102.91円)と小動き。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、買い越し(2460万株売り/2770万株買い)でした。
● 大引後に開示された先物の手口を見ると、今日は全般に「非常に静か」でした。日経平均先物で差引1000枚超の売り買いは、GSが1883枚買い越しだった程度。他はUBSが931枚買い越し、LBが940枚売り越し、野村が買い手口不明の2072枚売りなど。TOPIX先物は、MSが2306枚買い越しだった一報、BNPPが2426枚売り越しなど。今日はニューエッジもCSも静かでした(^^;。
● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。個人的には、今日の指数の動きはミスリーディングで、あまり参考になりませんでしたけど…。
● 業務連絡。大引後に東証から 「株価指数算出上の取扱いについて(住石ホールディングス等)」 とのお知らせが出ています。該当銘柄は住友石炭鉱業(1503)、テンプスタッフ(2476)、ケンウッド(6765)、日本ビクター(6792)。いずれも小さな銘柄ですが、9月24日(水)が最終売買日でホールディング会社が10月1日(水)に新規上場となります。お忘れ無きように(^^;。
● もう一つ業務連絡。それとFTSEから日本株指数に関して銘柄入替えが発表されています。リリースはこちらからですが、これはほんの数行の文章だけ。新規追加及び削除銘柄は、FTSEのサイト内にあるExcelファイルをこちらからどうぞ。一般的にFTSEをベンチマークにしているファンドは、MSCIほどの規模ではないと考えられるものの、欧州系にはソコソコあるようです。一応、ご注意を。リバランスは9月19日(金)の大引けを基準に実施されます。
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