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このマーケットコメントは、資産運用を職業とする国内外の機関投資家顧客向けに書いている落書き帳です。少し違った視点から相場を眺めている一人の声としてお楽しみ下さい!

● 今朝(8月23日、日曜日)の日経に『マザーズ、株価9割下落で上場廃止 東証が改革案』(日経)との記事。これまでも上場廃止基準などは定められていたものの、今度追加される(であろう)基準は、公募価格比で株価が9割以上下落し、さらに一定期間経過後に回復しなければ、上場廃止処分を食らうというもの。記事によると、週明けにも東証の取締役会で決まり、パブリックコメントを経て最終決定される見込みとのこと。これを書いている時点では、東証の「パブリック・コメント」には、まだ何も掲載されていませんが、25日以降に詳細はここに載ってくるってことなんでしょう。

● まだ細部を見ていないし、記事しか読んでいないので何とも言えない部分はあるのですが、率直な感想としては「やっとか…」ってところ(^^;。方向性としては正しいと思うし、もっと前々からこの手の「退場ルール」を整備する必要はあると考えていました。もちろん、これは東証マザーズ市場だけの話ではなく、東証1部もそうです。今この瞬間でも、東証1部から外される(東証2部とかへ格下げになる)基準をもっと厳しくすべき、と考えています。

● 制度上は、いくら東証そのものが上場企業がちゃんと運営されているとの「お墨付き」を与えるものではないとしても、世間一般はそう見ることになるんです。上場企業は非上場企業よりも信用力が上だとか、それが一般的なイメージ。色々な銘柄にしても、上場時はその基準に合致していたかもしれないけど、年月が経過するに従って落ちぶれてしまったり、妙な筋に経営介入されてしまって、会社としての中身に疑問を抱かざるを得ないような銘柄は、それなりに出て行ってもらう仕組みは必要だと常々感じていたところです。まぁ、今回の件はその第一歩なんでしょうね。

● 東証の上場廃止基準は、東証1部・2部はこちらマザーズ市場についてはこちら、と公表されています。色々と基準があるなかで、「債務超過」などの業績・財務面で引っ掛かる以外に、最近は「虚偽記載又は不適正意見等」などのコンプライアンス面での用件に引っ掛かって上場廃止になる銘柄が増加傾向でした。そして「流通株式時価総額」に引っ掛かる超低位株(要するにどうしようもないボロ株)もちょくちょくあったのですが、妙な銘柄ほど妙な手段でクリアしたりして、上場銘柄としてしがみつくのもあり、眉をしかめていた市場関係者や投資家も少なくなかったと思います(含自分)。

● マザーズ市場の「流通株式時価総額」基準は、「2.5億円未満(平成21年12月末までは1.5億円未満)(猶予期間1年)」と定められています。ただ、極端な話、上場している限り、株価は1円未満にならないので、2.5億株の流通株式があれば、株価がたった1円の超ボロ株になったとしても、時価総額基準では上場が維持できてしまうのです。ワケの分からんMSCBなんかをドカッと大量に発行して、それが急速に転換されて「流通株」になることで、この基準を満たしてしまうパターンなどが考えられるだけに、投資家としてはやってられません、ホンマ。この辺のループホールを防ぐというのが今回の意図でしょうけど、じゃあ、完全に水漏れ状態が止まったかというと、多分、必ずしもそうではないんでしょうネ。ただ、一つずつ穴を閉じていく作業はしなきゃ行けないのも事実です。

● 証券取引所は、色々な企業を上場させることでフィーを取る、というビジネスです。もちろん、株券などの売買に伴いフィー収入もあるのですが、企業を上場させることでフィーを稼ぐというのも大きな部分を占めるビジネス。それだけに、自らその収入減を招くような上場廃止については、消極的との見方をされる土壌があったのです。つまり利益相反ってこと。ただ、投資家、市場関係者に受け入れられる市場を管理する立場としては、目に見える行動を率先して取るしかないのも厳然たる事実。マザーズ市場だけではなく、東証1部などについても、より厳しい「退場ルール」をお願いしたいところです。

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2009年08月22日(土) .... 『NYダウ平均』がMSCI Barraに?!?

● ネット上を彷徨っていたところ(^^;、日経に 『「ダウ平均」売却検討 ダウ・ジョーンズの株指数算出部門』 との記事。元々はWSJ紙の記事とのことだったので、そちらを見ると、『Dow Jones Weighs Sale of Stock-Index Operation』(WSJ) との記事。料金を払っていないので全文を見ることは出来ないのですが(^^;、要するにダウ・ジョーンズ社の親会社のニューズ・コーポレーションが部門売却に動いているようで、"Dow Jones Industrial Average"などの算出元の「stock-market indexing business」が売却対象になっているとのお話。

● 記事によると、ゴールドマン・サックスがこの売却話に絡んでいるとのことで、MSCI Barraなどへの売却が検討されているということ。日経の記事では、MSCIのことを、「金融大手モルガン・スタンレーの株価指数部門」と書いているのですが、私の記憶が正しければ、MSCIはモルガン・スタンレーから独立したハズだったのですが…(^^;。

● それはともかく、ダウ・ジョーンズ系の指数では「NYダウ工業株30種平均」が圧倒的に有名なものの、これは指数としてはかなり旧式の「単純平均」を基にした株価指数。日経平均などと同じになります。一方、現在、世界で主流なのは時価総額加重平均(しかも浮動株基準)の株価指数で、各種MSCI指数はもちろんのこと、日本ではTOPIXなどが時価総額加重平均型の株価指数で、機関投資家などは主にこちらを使っています。ダウ・ジョーンズ社も「NYダウ工業株30種平均」などが有名だけど、実は時価総額加重平均型の指数もたくさん発表しており、この点で、MSCI Barraとはモロにビジネスが重なっています。S&PやFTSEなどを含めて、世界的に有名な指数算出プロバイダーの一つであることは間違いないのです。そこが売却対象になるとは…(^^;。

● 指数ヲタクとしては、指数としては欠陥だらけの「NYダウ工業株30種平均」ながら、やっぱり無くなるなんてことになると寂し過ぎるので、名前が変わったとしても、続けて欲しいとは考えています。日経平均と同様に株式市場にとっては象徴的な指数の一つですから…。

● 先日アップした『ザラ場で儲からない相場が続く…。上昇のほとんどはオーバーナイト要因(^^;。』のフォローアップです。前回同様に分かり易くするために、価格は日経平均先物(9月限)を使っており、イブニング取引は含んでいません。当日寄付で買って終値で売る日計りと、前日終値で買って翌日の寄付きで売る「1泊2日」のオーバーナイトを試して見ました。

● 日経平均そのものではなく先物を使う理由は大部分の方は既にご理解頂けているでしょうけど、蛇足ながら少しだけ。指数は何でもそうですが、その算出の仕組みから、指数の「寄付」は9時01分の数値でしかなく、多くの銘柄が寄付いていない状況だと、指数計算に前日終値が使われたり特別気配が使われたりで、本当の意味での「寄付」ではないからです。一方で、先物は個別銘柄がどの水準で寄付いてくるのかを想定しながら動くので、ギャップを織り込んだ価格で寄付ます。その点からすると、曇り目のない「寄付」ですので、ギャップが存在する状況であれば、素直にギャップが価格として出てくるからです。

● なお、7月13日の日経平均先物終値は9040円。昨日終値の10440円まで1190円の上昇となっています。

日経平均先物(9月限) (買)当日始値
(売)当日終値
(買)前日終値
(売)当日始値
始値高値 安値終値前日比
7/139240935090309040-210 ------
7/149240930091709250+210 +10+200
7/159330934092509290+40 -40+80
7/169500950093109330+40 -170+210
7/179410943093609380+50 -30+80
7/219570966095009650+270 +80+190
7/229630976096009730+80 +100-20
7/239710987097009780+50 +70-20
7/249940996098609940+160 0+160
7/2710040101901002010080+140 +40+100
7/28101201013010040100800 -40+40
7/2910030101701002010110+30 +80-50
7/3010170102101006010200+90 +30+60
7/3110310103801025010370+170 +60+110
8/310360103901032010360-10 0-10
8/410480104901036010400+40 -80+120
8/510410104201024010250-150 -160+10
8/610270104401026010400+150 +130+20
8/710370104301025010420+20 +50-30
8/1010550106001048010550+130 0+130
8/1110530106001051010580+30 +50-20
8/1210490105301043010440-140 -50-90
7/14~8/12の合計+1190 +130+1270

● 前回と若干変わったのは、「ロングのまま、何もしなかった向き」よりも、オーバーナイトリスクだけを取った方が若干成績が良かったってことですが、目立ったというほどの差ではなく、まぁ、誤差程度と考えた方が良いでしょうね。一方、ザラ場だけに命を賭けていても儲からない相場は継続しており、依然として、「外部・海外要因」に大きく左右されるオーバーナイトギャップが値動きの多くを占めていたことになります。

● ちなみに期間中の高値安値差(日中値動き)は平均で133.81円。最大値でも190円(7月16日)で、最小値は70円(7月17日と8月3日)でした。この点からも、ザラ場の値動きが乏しいことが良く分かります。ザラ場で300円幅ぐらいを二往復してくれると、面白くて仕方ない展開になるんですけどねぇ~(^^;。波長が合わないとえらいことになるでしょうけど…(^^;。

阪神タイガース シーズンロゴ ● 「休暇中」ってことで(^^;、調子に乗って阪神タイガースネタをもう一つ。今日の夕刊フジに『阪神熱望&巨人拒否?! ゴジラ衝撃インタビュー、移籍をめぐる4つの不気味な動き』との記事が掲載されています。元ネタは週刊ポスト(8月14日号)の記事ですが、確かに立ち読みしたところでは、「こりゃあ、本気でタイガースに来るかな?」との印象を抱かせるだけの記事ではありました。実は、今朝はサンケイスポーツにも『阪神・南社長が渡米…松井秀情報収集も』との記事があり、何となくざわついて来ているのは事実。

● 週刊ポストの記事のなかで、ヤンキース・松井秀喜外野手は背番号55番についても話をしているのですが、現在の阪神タイガースの55番は前田忠節内野手。本人も球団側も、松井が来るとなれば55番を移すことに躊躇はしないでしょうから、その点での問題はほぼゼロ。一方で、読売はルーキーの大田泰示内野手に55番を渡してしまったので、無理やり取り上げるというのも摩擦がありそうで、夕刊フジの記事でも書いてあるように、これがある意味で踏ん切りとも受け取れる発言まで出ているんです。

● 今年の阪神タイガースの戦いを見ていると、一部選手の調子が悪かったことがあったにしろ、得点力不足は否めない状態。今年だけではなく、ここ数年、そういった傾向が続いている印象。そして、ホームランの打てる外国人選手を無理やり取りに行って失敗するの繰り返し。昨年のフォード、今年のメンチなんて、いったい何を働いたのやら…(-_-;)。ブラゼルはまぁまぁ働いている印象があるものの、いずれにしろ、これだけ外国人選手を取りに行っては失敗の繰り返しだと、さすがに何が悪いのかをフロントも考えざるを得ないというか…。悲しいでっせ、ホンマ…。

● 一方、実際問題として、ゴジラ松井選手に働き場所があるかどうか?守備的には色々と爆弾を抱えていることもあって、一塁手とか外野手になるんでしょう。現時点では、外野の「空き」は敢えて言うと右翼だけど、まぁ、一塁手を主体にってことになるでしょうね。その場合、ブラゼルに右翼を守らせるってことになるんでしょうか。打順は5番あたり?何かと夢が広がるような印象があるけど、逆に、阪神タイガース生え抜きの選手にも、もう少し活躍場所を提供できるようにしておきたい印象も残ってしまいます。一時期の読売は"傭兵部隊"ばかりで構成されて、面白くも何ともない印象でした。ここ2年ほどで変化しつつあるのは分かるのですが、それと同じ轍を踏むのはマズイので、その点は気をつけて欲しいところですが…。

● しかし、シーズン勝利への希望が薄らぐにつれ、この手の話題が中心的になってくるのは、いつものパターンですなぁ…(^^;。

● 相場は通常通り「開催中」だけど、世間は夏休み中(^^;。台風は接近するし(東京では全然大したことは無かった)、地震はあるし(これも東京では大したことは無かった)、何となく雰囲気はざわざわ。今日は「休暇中」ってことで、相場と全く違った話で行きます(^^;。

● いつかこんな記事が流れる日が来るとは予想していたものの、ついに…って感じ。何の話かって?今朝のデイリースポーツに『戦力構想外…今岡、今オフトレード要員』との記事。まぁ、実際問題、「今岡」の名前を聞かなくなって久しいし、現在の1軍でサードというポジションが固まっていないワケではないし、絶対に必要な人材との印象はとても希薄になってしまったのが本当のところ。今岡選手は34歳ってことなので、老け込むような年齢ではないんでしょうけど、若さだけで突っ走れる年齢ではないのは、それなりに本人も自覚していることでしょう。本来ならば、そこで何かを変えていかないと生き残れないのですが、それがうまく行かなければ去っていかざるを得ないのがこの世界。実は、証券界もとても似ているのです。特に外資系証券を中心とする世界では、昔から「35歳定年説」が非常に有力だし、それは今も変わっていないのです。

● もちろん、「35歳定年説」というのは、全員が去るという意味ではなく、そこで花開かなかったら二度目はない分岐点という意味。35歳というと、日本の普通の企業であれば、少しずつ頭角を現してきて、これから花咲く時期なんでしょうけど、外資系証券だと30歳になるかならないかで頭角を現し、35歳あたりで「自他共に認める」にならないと、40歳まで生き残れないのが現実。つまり、35歳で花開いていないと、その先は花が開くことは無い、というのが一般的な見方になってしまうのです。もちろん、外資系証券でも50歳まで活躍している人材は居るのですが、数からすると、非常に狭き門なのは誰もが認めていること。また、年収という観点からしても、ここで「波に乗れる」かどうかで、先々の人生は大きく差が付いてしまいます。

● まぁ、こんな話をしてどうなるってことではないのですが、「今岡選手」が年齢にあわせて変貌していけるかどうかは、ある意味では証券界で、自分も含めて多くの人間が感じていることかなと…。時代に合わせて、周りの環境に合わせて、さらに自らに合わせて、自らを対応させていけるかどうかは、生存競争の一つ。太古、地球上に初めて生命が宿った時から、恐竜の時代も、現在も、結局、同じなんでしょうね。ちゃんと心しておかないと…(^^;。

● 今日の日経平均は前週末比4.36円安(-0.04%)の10,352.47円と小幅安だったものの、TOPIXは同+7.30ポイント高(+0.77%)の957.56ポイントと、これで7月16日からなんと12連騰。市場筋調べによると、これは1988年2月10日~3月2日にかけて16連騰して以来、なんと21年半ぶりだったとのこと。

● ちなみに、TOPIXの過去最長連騰記録は、1971年12月17日~1972年1月14日に記録した20連騰らしいです。東証HPなどを探しても、この辺の記録については掲載されていないので、とりあえず「市場筋調べ」を信じるしかありません。

● 今日はザラ場を見ても、そんな雰囲気はあまり感じなかったかもしれませんが、ある意味で、今日は記録的な1日だったってことになります(^^;。

● せっかくですから、TOPIXと日経平均の寄与度ランキングをつけておきます。出典はQUICK MoneyLifeです。これはとても使い易いランキングなんですが、残念ながらヒストリカルを蓄積してくれないので、どうしても欲しいときは、こうやって画面キャプチャするかExcelなどにダウンロードするしかありません。日経平均の寄与度ランキングはExcelベースで計算できるのですが、TOPIXはちょっと難しいですから…(^^;