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このマーケットコメントは、資産運用を職業とする国内外の機関投資家顧客向けに書いている落書き帳です。少し違った視点から相場を眺めている一人の声としてお楽しみ下さい!
 TOPIX : 1147.89 (-6.06, -0.53%)    日経平均 : 11893.16 (-113.37, -0.94%)    円ドル : 105.80  

● 朝方の一瞬は米国株高などを好感してプラスで始まったものの、その後は米国での「救済法案(金融安定化法案)」協議の行方に不透明感が強く、寄付高以外は、ほぼマイナス圏での推移でした。ザラ場でも、誰かが協議案を拒否したとか、暫定合意したとか、WaMu(Washington Mutual)が飛んだとか、はたまたフォルティスの資金繰り悪化報道など、不透明感の解消には程遠いニュースばかり。

● もう少し広いところを見ても、バルチック・ドライが大幅安だとかで海運株はひたすら売られ、鉄鋼などもボロボロと、景気の先行きを不安視せざるを得ないようなネタばかり。銀行株にしても、実際に今後の見通しが立つような値動きではなかったし、週末を控えていることもあって、手控えムードでいっぱい。相場は寄付き段階でもあまり強いとは感じなかったものの、一方で、ドカンと売られなかった(一時、かなり売られたけど戻した)のは、買い方だけでなく、売り方にとっても動きづらい印象。どちらにしろ、新規にポジションを組むような雰囲気は皆無で、ポジション整理を「今」やるか、「先延ばし」するかが焦点って感じでした…。はぁ~(^^;。

● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。

● 記録。東証1部出来高は前日比2億3139万株増の18億2372万株、売買代金は同2933億円増の2兆0180億円。昨日よりは増加したとは言え、活発とはお世辞にも言い難い状況。東証1部値上がりは341銘柄に留まった一方で、値下がりは1307銘柄もあり、指数から受ける印象よりも値下がり銘柄数が多い感じを受けました。今朝のSQ値を計算すると、前日比30.03円高の12036.56円(9時40分確定)。TOPIXは13時46分に-18.50pt(-1.60%)、日経平均は13時50分に217.80円安(-1.81%)まで突っ込んでいます。大引けまでには良く戻ったというべきでしょうか。一方、日経平均の日中値幅は293.91円(前場150.53円、後場155.51円)。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、引き続きかなりの売り越し(3650万株売り/2510万株買い)でした。

● 一歩引いて考えれば考えるほど、この先、ヘッジファンド業界に津波のように襲い掛かってくる可能性が高い難局からは、どうやっても避けられないように思えてしまいます。暴力的な相場の上下は一巡したとしても、構造的に業界としての拡大に急ブレーキが掛かるのは避けられないだろうし、それによって世界中の色々なマーケットも、規模縮小や流動性の低下などの難題が降りかかってきそうな雰囲気。GS/MSというプライム・ブローカーの二大巨頭が銀行になることで、レバレッジが掛け辛くなる件については昨日も書いたのですが、それ以外にも副作用が何かと出てくるのは避けられません。

● 足元のマーケットでも、投資家がリスク忌避から投資エクスポージャーを減らそうと解約に走るとなると(実際にそれが起こっている)、運用側もポジションを縮小せざるを得なくなります。この状況下だと、突然、空売りの多い銘柄群が買戻しで急上昇したり、逆に買いポジションが多いと思われる銘柄群が叩き売られたりするのです。つまり、割安がより割安になり、割高がより割高になるという難儀な状況が出現し、影響はヘッジファンドだけに留まらず、ロングオンリーの投資家にも広がってしまいます。主に年金資金などを運用するロングオンリーのFM諸氏にとっても、この状況が非常に悩ましいのは同じで、対ベンチマークでオーバーウェイトになっている銘柄ほどアンダーパフォームするという状態に陥ってしまいます。対応策として最初にやることは、飛び出している部分を削ぐこと。つまり「割安がいずれ修正される(買われる)だろう」と信じてオーバーウェイトしていたポジションほど売り圧力が強い、ってことになってしまいます。もっと最悪なのは、周りの皆が似たような状況にあるってことです。

● さらに事態を悪化させるのが、金融株を中心に空売り規制が世界中で行われていること。ロング/ショートファンドなどは、ショートが自由に出来ない(やり辛い)状況では、ロングも出来ません。さらに、ファンディングレートが高過ぎて、裁定取引やスタットアーブのような薄利多売の取引も困難になってくることで、普段だったら割安を修正すべく入ってくる買いが入ってこなくなり、割安が割安のまま放置されてしまうのです。これが余計にファンドの収益を悪化させることになり、よりポジション解消を進めざるを得なくなるという悪循環。やはり傷が癒えるには、ある程度の時間が必要と考えざるを得ないです。まぁ、考えても仕方が無いとして、明るい方向を見る開き直りが必要なのかもしれませんけど…(^^;。

● The Gartman Letter の"Rules of Trading"の中から、いくつか以下に抜き出しておきます。どれもかなり重たいっす(^^;。

- Never, ever, ever, under any circumstance, add to a losing position.
- Market can remain illogical far longer than you or I can remain solvent.
- An understanding of mass psychology is often more important than an understanding of economics.
- There is never just one cockroach.
- Do more of that which is working and less of that which is not.

● 雑談。さて、祝日のおかげで短い週でしたが、それなりに気を遣う1週間でした。また月曜日早朝に何かあるのかもしれませんが、それまではすっぱり忘れて秋を楽しみましょう(^o^)。そうそう、 「阪神日本一!…なら、経済効果767億円ナリ」 (朝日新聞)との記事もありました(^^;。さぁ、プロ野球もシーズン終盤のスパートです。良い週末を!

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