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このマーケットコメントは、資産運用を職業とする国内外の機関投資家顧客向けに書いている落書き帳です。少し違った視点から相場を眺めている一人の声としてお楽しみ下さい!
 TOPIX : 1153.95 (-14.02, -1.20%)    日経平均 : 12006.53 (-108.50, -0.90%)    円ドル : 105.70  

● 寄付きから米国株安に加えて、配当落ち分の下落も加わり、それ以上に不透明感や不安感が払拭できずに買いが手控えられる毎度のパターン。意外感があるほどスルスルと下落したものの、前場中盤からは妙な期待感(^^;が広がったのか、今度は意外感があるほどの戻り方。ただ、後場は基本的に動きが乏しいままマイナス引け。メガバンク株が上下したことに引っ張られた印象はあったものの、自動車や商社、海運が軟調でTOPIXの方が下げがきつい1日でした。まだ方向感は出てきませんネ、ホンマ…。なお、本日の配当落ちは、概算でTOPIXで約9.20pt程度、日経平均で約83~85円程度とのこと。いずれにしろ、配当を埋めることは出来ませんでした。もちろん、この配当部分は今後、増配や裏切りの減配をする会社が出てくれば変動します。為念。

● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。

● 上記したように、個別には銀行株、保険株などが堅調だったものの、自動車、商社、海運などがヘロヘロ。鉄鋼も軟調だったし、どうも乗り切れない状況。また、優待権利取りが終わったためか(^^;、JRなどもかなり安かったです。一方、ファクター分析から見ると、どうもフロー系のバリューが不調。7月、8月そして9月と、月末から月初に掛けて、フロー系のバリューが落ち込む現象が発生しました。つまり、割安がより割安になる悩ましい状況に陥った経験があるのです。今回もそれが起こるか戦々恐々(^^;。中間期末という時期だけに、どうしても気になるところです。

● 中間期末と多少関連するのでしょうが、昨日あたりから先物がプレミアムで推移することが多くなっています。日経平均先物だと、フェアが現物+15円程度のところ、現物+40円などで推移することが多くなっているのです。色々と理由は考えられるのでしょうが、一つは、裁定取引が不活発になってきていること。裁定取引を得意にしているプロップ(自己売買部門)は外資系証券が多いのですが、一連の金融危機騒動のおかげでファンディングを取り辛くなっている(コストが高い)ことから、ポジションの積み増しどころか、減らす方向にバイアスが掛かっています。つまり、先物が走っても裁定買いが追い掛けてこないのです。

● 実は、債券市場でも似たようなことが起こっているようで、裁定取引をする向きが減っていることで、マーケット全体の流動性が落ち、さらに価格形成が歪になるケースが増加しているとのこと。株式市場でも全く同じです。ということは、株式市場だけの理由ではなく、色々な金融市場を取り巻く問題が原因の可能性が強いことになり、つまり信用不安、信用収縮に伴うファンディングコストの高騰が大きな原因ではないか、と考えている次第です。株式市場の現状だけを見れば、特にマーケットに悪影響は見受けられません。ただ、逆に先物が先行して下落するようだと、裁定解消売りが断続的に出る可能性もあり(ポジション解消意欲が強いので)、特に9月末までは、神経質に相場を眺めておきます(^^;。

● 記録。東証1部出来高は前日比4億4604万株も減少して15億9233万株、売買代金は同6296億円減の1兆7248億円と閑散。如何に商いそのものが手控えられたかが良く現れています。東証1部値上がりは444銘柄、値下がりは1156銘柄。今朝のSQ値を計算すると、前日比206.56円安の11908.47円(9時15分確定)と、朝からかなり突っ込んだことが分かります。TOPIXのザラ場安値は10時19分に-26.50pt(-2.27%)まであり、ザラ場高値は10時59分。日経平均のザラ場安値は9時31分で279.75円安(-2.31%)までありました。日経平均の日中値幅は190.13円(前場184.45円、後場89.97円)で、前場は下がったところから戻したので値幅があったものの、後場は見送り気分が強くなった様子が分かります。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、引き続きかなりの売り越し(3370万株売り/2250万株買い)でした。

● 話題変更。ロイターで 「焦点:米金融大再編の波、いずれヘッジファンド業界に」 との記事が流れていましたが、そのなかでGSとMSが銀行持ち株会社の傘下に入ることにより、銀行として自己資本規制が課せられるため、これまでほどレバレッジを効かすことが無理になると考えられ、ヘッジファンド向け融資も細るのではないか、との見方が出ていました。

● ヘッジファンドはプライム・ブローカレッジ(PB)ビジネスと切っては切れない関係にあります。そして、GSとMSは、自他共に認める、ヘッジファンド業界とともに成長したPBビジネスの両巨頭。もちろん、レバレッジ資金はPBからだけではなく、他から引っ張ることも可能は可能ですが、手間ヒマなどを考えると、通常はPBから引っ張ることが多くなります。その蛇口が締まってしまわないまでも細るとなるならば、ヘッジファンドにとっては「酸素が薄い」状態になってしまいます(^^;。それだけで「死ぬ」ことはないでしょうけど、体力が弱い向きはそうなってしまうかもしれません。究極的には、その環境に慣れるしかない、ってことでしょうけど、ヘッジファンド全体として、投資余力の縮小は避けられないと考える方が素直。そうなると、マーケット全体も縮小する状態が中期的に継続することも覚悟しておかなくてはいけなくなります(T_T)。

● 一方、反対側から見ても、多くの証券会社、特に外資系証券会社は、ヘッジファンド向けビジネスを重点に置いた営業をしてきたと思います。昨年夏のサブプライム爆弾が炸裂してからは、ヘッジファンド・ビジネスの落ち込みは、どこもかなり大きいのは簡単に想像できます。それだけに、今後、証券会社としても、委託ビジネスのスタイルを変える必要があるのかどうか、委託ビジネスの世界が変わるのかどうか、さらに生き残るのかどうか…(^^;。中期的な流れには気をつけておきたいところです。

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