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このマーケットコメントは、資産運用を職業とする国内外の機関投資家顧客向けに書いている落書き帳です。少し違った視点から相場を眺めている一人の声としてお楽しみ下さい!

2006年05月10日(水) .... 大幅続落、後場に入って急に崩れる

 TOPIX : 1747.50 (-7.53, -0.43%)    日経平均 : 17190.91 (-100.76, -0.58%)    円ドル : 111.70  

● 今日は前場と後場で相場のトーンが急変。値動きそのものもそうだったのですが、中身的にも、です。最初から行きましょう。今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、3日連続の買い越し(3460万株売り/4090万株買い)。チョビマイナスでスタートし、前場中頃にプラス転換。前場は「強い」と言うほどではなかったものの、「弱く」はない状態だったのです。ところが、後場に入って様相が一変。アレヨアレヨと言う間に売られて、あっという間にマイナス拡大。意外感があるほどのスピードで下落となりました。

● 今日も日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。前場と後場でトーンがガラリと変わっているのがご覧頂けるかと・・・。

● 昼休みを挟んで相場のトーンが一変する時は、立会外バスケット取引がきっかけになっている事が多いのが経験則。今日の東証昼休み立会外バスケット取引は、単一銘柄とバスケットをあわせて748億円超。それほど巨大ということはなかったのですが、デルタが売りに振れていた可能性はあります(市場筋の間でもその観測は流れていた)。円が110円台に突っ込んできたのは、朝方の一瞬を除けば午後12時55分頃。株式市場はその前から急速に下げ始めていたことを考えると、110円台は背中を押す材料だったかも知れませんが、時系列的には、主導的要因ではなかった感触です。

● 相場解説では「先物の売り仕掛け」とか書くでしょうけど、実際に仕掛けが"仕掛かる"には、それなりの理由と背景が必要。単に誰かが仕掛けたから引っ掛かるというほど、相場は(特に参加者が多い先物市場では)甘くありません。何らかの格好で雷同してくれる人々(^^;が必要なのです。だから、仕掛けが本当の原因ではなく、最大級に評価したとしても、きっかけに過ぎないんですよね。「ホナ、何が"主導的要因"やねん?」と突っ込みたくなるところですが、現時点では、「よぉ、分かりまへん」が答えです(^^;。そのうち見えてくるかもしれませんが、現時点では自信を持って言い切るのは私には無理です。"専門家"諸氏は出来るのかもしれませんけど・・・(^^;。何はともあれ、いったん方向性が決まった相場は、タイヤが坂道を転げ落ちるように転落。アレヨアレヨと言う間の下落でした。

● 指数の動きだけでなく、ファクターで見ていても、今日は興味深い相場でした。朝方はサイズは大型に振れていたのですが、後場に入ってからこれが一転。バリューは前場はまぁまぁだったのが、後場に入ってより堅調に。一番変わったのが短期のリバーサルで、前場はボロボロだったのですが、後場に一気に反転プラス。グロースは逆に前場堅調、後場軟調でした。この辺も含めて考えると、もし本当に昼休みの立会外バスケット取引が影響を与えたのだとすれば、どんなポートフォリオが取引されたかも、何となく想像できてしまいます(^^;。もっとも、後場の下げ過程で裁定解消売りがかなり出たのも事実で、これがあると相場の内容もファクター的には随分変わるので、一概に全てが何の結果、とは言い切れないのが通常です。最後の30分ほどの戻し局面では、上記が一斉に逆方向に振れたので、モメンタム系日計り族の反対売買があったのでしょうね。

● 一歩下がってチャートを見ると、GW中と今週月曜日でピョコンと上昇したものの、昨日・今日とで、その上昇分をほぼ全損(^^;。ただ、今週の月曜日に上昇した際に感じた違和感が正常化しただけとも受け取れます。チャート上では、まだ方向感云々という状況ではなく、レンジの中の動きです。この1ヶ月ほど、TOPIXの1710ポイント割れ、日経平均の16900円割れの水準は「下ヒゲ」ゾーンにもなっており、この辺を守れるかどうかが目先的な注目点になりそうです。

● 一方、今日の東証1部出来高は前日比1億1999万株増の20億7147万株、売買代金は同2205億円増の2兆8311億円。手元の数字では、出来高が20億株を超えたのは、4月5日に21億4296万株を記録して以来なので、約1ヶ月ぶりの大商いってことになります(サクラダが9500万株程度商いしているので、これを除くとしても・・・)。また、東証1部では、値上がり232銘柄、値下がり1408銘柄で、ほぼ全面安でした。今日をセリング・クライマックスとは言えないまでも、ソフトバンクが売買代金トップだった(朝方プラス、後場マイナスのジリ貧)ことを考え合わせると、信用残の整理に向けた第一歩かもしれません。

● 話題変更。日本時間で明日早朝にMSCI定期銘柄入替えの発表があります。朝起きたら、http://www.msci.com/ をチェックして、通勤の電車内で戦略を考え、会社に着いて実行する・・・と(^^;。新規に入る銘柄は、どちらにしろ流動性に難がありそうですから、それなりに注意が必要です。色んな銘柄が候補に挙がっていますが、他力本願的に複数の証券会社レポートを集計すると、エディオン(2730)、日本製鋼所(5631)、アーバンコーポ(8868)あたりが「◎」って感じでしょうか。もう今日の相場が終わっているので銘柄名を書いたんですが、本当にこれらの銘柄が選定されるかどうかは一切知りません。明日早朝に、各自でMSCIのHPで確認をよろしく。英語ですが、いつも通り、「No Pain, No Gain」です(^^;。

● 一つ注意点。MSCIに限らず、これらの指数イベントは、新規採用銘柄が一般的に注目を集めるのですが、指数採用株数変更やFIF(MSCIの浮動株比率の言い方)変更の方がインパクトが大きい場合がよくあります。こちらはMSCIとライセンス契約していないと見れない情報(HPなどには非掲載)なので、時として「穴場」になります(^^;。なお、MSCIとライセンス契約するには、最近確かめたワケではありませんが、ウン百万円といった単位(それ以上?)のフィーが必要となります。為念。そして、MSCIの後の金曜日はミニSQです。

● 最後に、日米主要企業決算発表予定ワークシートをアップデートしておきました。いつも通り、意図的に数日遅れのデータをアップしています。左側フレームからダウンロードページにお進み下さい。もうちょいで決算発表も山場終わりです。

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