2008年10月24日(金) .... 急落続く、TOPIX/日経平均ともにバブル崩壊後安値に接近
TOPIX : 806.11 (-65.59, -7.52%) | 日経平均 : 7649.08 (-811.90, -9.60%) | 円ドル : 95.40 |
● 今晩は証券業界関係者の400人規模の盛大な「飲み会」があり、更新が遅くなりました(^^;。「こんな時期に…」って声があるかもしれませんが、「こんな時期だからこそ!」です。何だかんだ言っても、証券界は会社の枠を超えた人と人のつながりで成り立っている業界なんです。ほろ酔い気分で更新と行きたいのですが、今日の日本株市場はもちろんのこと、アジア株式市場はボロボロ。欧州株式市場もボロボロだし、始まったばかりの米国株式市場もボロボロ。円高はひたすら進行しているし…。
● 最初から行きましょう。米国株式市場はまちまちながら、相変わらず不安定感が目立つ印象。東京も初っ端の1時間から昨日同様にスコーン、スコーンと下落幅拡大。日本株がここまで売られる理由はなかったと思うのですが、今のマーケットは理屈で対処しようとするとやられます。相場を見る限りでは、最初の1時間にかなりの売り圧力が発生したようで、これは海外の投信筋の可能性が大。色々と解約だのが出ているのでしょうネ。日本円が急上昇したおかげで、ドルやユーロベースで見れば、生の指数で見るよりも下げが緩やかに見えるでしょうし…。
● 一度は戻り掛けた相場も、前引けに掛けてジリ貧。後場に入ってすぐに、日経平均はあっさりと8000円割れ。1ドル=95円台前半、1ユーロ=121円台の円高水準、そして週末を控えているとなれば、もう止まらなかった感じでした。買物薄のなかをビッドを叩くような売りが多く、トレーダーにしても「待っていると先に下を売られる」状況。最後大引け間際の15分間では一段安となり、結局、TOPIXも日経平均も想定外の急落。TOPIXは終値ベースで2003年5月2日の804.62pt以来の安値、日経平均は2003年4月28日の7607.88円以来の安値で、いずれも約5年6ヶ月ぶりってことになります。この2003年4月28日は、日本のバブル崩壊後安値だったので、そこまで行って来いで下がってしまったことになります。ちなみに、TOPIXは2003年4月28日の773.10ptがバブル崩壊後安値です。
● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● きれいな理由としては、ソニー決算・業績予想への失望、外需銘柄への警戒感、グローバル・リセッション懸念などでしょうけど、足元では現金化に伴う需給関係の悪化が相場下落に拍車を掛けているのが否定できない状態。投信の解約やヘッジファンドの解約/解約に備えて現金化する動きが途切れない印象があります。実は、先週後半から今週前半に掛けては、少し一服感もあったのですが、それは完全な間違いだったってこと。昨日も書いたように、投信の解約はモロに「売り」として出てきます。しかも、解約なので現金化が最優先目的。「高く売る」などとぬるい話をしているヒマはないのです。
● 一方で、理屈としてこの水準を正当化するには、かなりの業績悪化を見込んでいることになるし、それ以上に、極端なリスク(企業破綻など)を織り込みに掛かっているとしか考えられない状況。何らかのきっかけて「リスク過敏の行き過ぎ」と考えることが出来るようになれば、極端部分が消えるだけでも、かなりの株価の戻りになるのは理解できるのですが…。問題はそのタイミング。加えて、行き過ぎ修正には誰かが自分の後で買ってくれないと駄目で、そのメドを立てるのが、現時点ではかなり難しいのも事実。この調子で世界的な株式の急落が続くとなると、欧米で思惑が出始めている「市場閉鎖」も、あながち"思惑"だけでは無くなってきそうです(-_-;)。余計に混乱を招くだけなので、これは完璧な"禁じ手"なんですけど…。
● 金融危機の影響が先進各国のなかで小さいはずの日本株が、他国に足並みを揃えるか、もしくはそれ以上の下落を演じていることについて、某シニアFM氏(海外)が、「日本は上昇相場では成熟国、下落相場では新興国」と笑っていましたが、ホンマ、笑えないジョークです。ただ、外国人投資家が6割ものシェアを握る状態に甘んじてしまい、国内投資家を育てることをサボってきたツケは否定できないところ。同様に、日本経済全体としても外需に頼る構造のままで、内需振興の手を抜いていたツケが積もっていたのも否定できません。
● 円高だって今は嫌気されるものの、1980年代後半には円高は大きな好感材料だったのです。かつて「トリプル・メリット相場」といった言葉が流行ったのですが、その条件の一つが円高だったのですから…。これは、日本経済は内需型バブルだったからですが、重要なのは「内需型」だったということ。政策的に円高でもメリットを受けられるような経済対策が出来れば、世界も日本を見直すきっかけになるのでしょうが、これは相場反転よりも期待薄…(-_-)。この際ですから、バブル崩壊後の安値を割り込んで、それを機会に何かが変わることを期待したいところです。ただ、たとえ変化の芽吹きが出てくるにしても、日本からではなく、海外からなんでしょうね…、残念ながら。
● 記録。東証1部出来高は前日比1億8984万株減の26億3656万株、売買代金は同2976億円減の2兆0569億円と、決して多くはありませんでした。これは、売り買いが交錯して下げたのではなく、無理矢理にビッドを叩く格好で売られたことを示唆しています。東証1部値上がりは123銘柄、値下がりは1556銘柄で、最近の相場と比較すると、指数の下落ほどは"強烈"ではなし。今朝の日経平均SQ値を計算すると、前日比158.06円安の8302.92円(9時45分確定)で、少なくとも朝の寄付き段階では、これほどまでの下落を想定しなかったことが分かります。なお、昼休みギャップもかなり大きく、後場SQ値は前場終値に対して-58.61円もありました。日経平均の日中値幅は743.97円(前場378.08円、後場335.95円)で、前後場の値幅合計がほぼ1日の値幅という、右肩下がりのトレンドデーだったことが分かります。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、引き続き、売り越し(3490万株売り/2140万株買い)でした。
● 悪い相場のことは一時忘れて、紅葉を楽しみたい季節です。皆様も良い週末を!
2008年10月23日(木) .... 大幅続落。でもザラ場安値からは大幅な戻し
TOPIX : 871.70 (-17.53, -1.97%) | 日経平均 : 8460.98 (-213.71, -2.46%) | 円ドル : 97.80 |
● 最終的な数字を見れば大幅続落ながら、ザラ場安値から見ると大幅に戻して終了。TOPIXは前日比 57.55pt安(-6.47%、9時56分)、日経平均は同 658.08円安(-7.59%、9時56分)まであったのですから、ザラ場安値から、TOPIXで 4.50%、日経平均で 5.13%も戻したことになります。決算銘柄に対する反応が良かったとか、GLOBEXの米株先物が堅調だったことなどがあったにしろ、これは凄いことです。
● 時系列で行きましょう。オーバーナイトの米国株市場がまた急落(NYダウで-514.45ドル/-5.69%、S&P500で-58.27pt/-6.10%)。CME日経平均先物は8215円(大証比445円安)と、そこまで酷くなかったものの、実際に東京が始まってみると、この水準を下回ってNY株におつきあい状態。確かに1ドル=97円台、1ユーロ=125円台とかなりの速度で円高が進行したのはネガティブながら、それでも朝方最初の1時間ほどは、「そこまで売るかぁ?」ってほどの売られ方でした。この寄付き後1時間の売りというのは、海外投信系の商いに良く見受けられる特徴。今日もその可能性があったと考えています。その後の1時間、前場中盤以降は、売り圧力がある程度弱まったことを反映してか、相場もジリジリと戻す展開で昼休み。
● ホッと一息付きたかったところが、後場に入って昨日と同じように一段安。為替も対ドル、対ユーロで円高方向に振れて「キャン」(-_-;)。ただ、今日はここからが粘り腰で、その後はアレヨアレヨの戻し。信越化学(4063)の決算が午後1時に出て、同株がそれで上昇に転じた辺りから、相場全体も急速な戻しになった印象でした。昨日大引け後に決算発表したKDDI(9433)も、今日は朝方の一瞬以外はプラス推移だったし、やや安心感が出たというか、材料通過で動き易くなった銘柄に打診買いが入ったところ、意外に株価の足取りが軽かった意外感があったのかもしれません。電力・ガス、テレコム、医薬品・ヘルスケアなどのディフェンシブ系に加え、不動産もプラス転換して、安値からは大幅にもどして終了。今日も日中足は「V」字型でした。
● 日経平均の日中足に加えて、信越化学の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 記録。東証1部出来高は前日比6億6880万株も増加して28億2640万株、売買代金は同4739億円増の2兆3544億円。売買代金は株数ベースほど増加しなかったものの、それでも前日比で25%ほど増加。今日のザラ場切り返しは、それなりの商いを呼び込んだことが分かります。東証1部値上がりは470銘柄、値下がりは1152銘柄。今朝の日経平均SQ値を計算すると、前日比399.69円安の8275.00円(14時17分確定)。これはスズキ(7269)がストップ安に張り付いて寄付かなかったからで、9時45分頃までには大部分が寄付いていました。ザラ場で658.08円安まであったので、SQ値よりも260円弱も下げた瞬間があったことになります。そして、終値はSQ値よりも185円ほど上でした。日経平均の日中値幅は531.18円(前場531.18円、後場451.09円)。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、大幅な売り越し(5010万株売り/2840万株買い)でした。
● さて、昨日と今日の相場下落について、実体経済がどうのこうのと理屈を付ける"相場解説"が多いし、それは全然否定しません。しかし、足元のマーケットで起こっていることは、問答無用の「現金化」が断続的に出ているって感じがしてなりません。その現金化を誘発する要因としては、実体経済がどうのこうのというのがあるんでしょうが…。ヘッジファンド主導の強烈な現金化やリスク・リダクションの流れは先月から今月がピークだったのかもしれませんが(そうでない要素もまだまだある)、足元では投信など、もう少し一般的なところから「現金化」が増加している印象があります。彼らはリスク・リダクションというよりも、投資家からの解約に対応する現金化なので背景が異なるものの、マーケットから見ると、現金化という観点からは同じ。価格関係なしでビッドを叩くような売りとなる要因です。
● ヘッジファンドならロング/ショートという格好で両建て戦略が多く、ポジション解消となっても、何かを売る一方で何かを買うことが多いのが通例。一方で、投信などは"ネイキッド・ロング"状態。つまり、解約が来ると、ファンドからはストレートに「売り」だけが出てきます。昨日後場寄付き後すぐに、ファクター分析でサイズがスコーンと下がったので、「誰か大型株主体の売りを出したな」というのはすぐに分かったのですが、この局面でそれをやるってことは、現金化するためとしか考えられないのです。上昇相場で同じことが起こると、「誰か小型株を買いに行ったな…」になるんですけどネ…(^^;。
● 関連して、ロイターに 「ファンド・オブ・ヘッジファンズ、解約要求に備え資金調達」 とのニュースが流れていました。昨日も書いたように、ヘッジファンドの解約通告期限には色々なパターンがあり、例えば今年12月末をターゲットにした分でも、想定できるところとしては、まず9月末、今月末(11月末向け解約の通告も重なる)、11月15日あたり、11月末などの波が考えられるのです。さらに、解約通告をギリギリまで待たないこともあるでしょうから、それ以外の日付でも可能性は常にあります。投信などは解約通告期限といった縛りがないので、余計に「いつでも」状態です。つまり、まだシートベルトを外せるような状況ではない、ってことですネ。
● その一方で、解約の嵐が吹く(吹いている)ことは、どこのヘッジファンドやFoHFsのマネージャーでも嫌になるほど分かっていることで、何も対応していないハズがないのです。かなり多くのファンドが、解約に備えてキャッシュを抱えているのもが事実で、年末までに、どの程度解約されるかが不透明なので、既に半分以上キャッシュなんてファンドも珍しくないのです。今後、何らかの理由により、想定していたほどの解約が出ないということになれば、今度はキャッシュがジャブジャブ過ぎることになり、運用に廻さざるを得ない事態もある得るってことは認識しておくべきかなと…。ただ、それがある程度見えてくるにしても、11月半ば頃まで待つ必要があるとは考えていますけど…。
2008年10月22日(水) .... 再び急落、急速な円高・ユーロ安きっかけに下げ足速める
TOPIX : 889.23 (-67.41, -7.05%) | 日経平均 : 8674.69 (-631.56, -6.79%) | 円ドル : 99.55 |
● 米国株安(NYダウ -231.77ドル、-2.50%)を受けて、朝からある程度軟調地合いは多くが想定していたでしょうが、ここまで大幅に下がることは大多数にとって完全な想定外。特に後場の下げ足の速さについてはかなりの意外感がありました。タイミングとしては、ユーロが対円でスコンと下落したあたりから売りが加速した印象があったのですが、ユーロ円の急落は、直接的な理由というよりも、きっかけだったと考えています。最近は大幅な値動きに慣れてきたのは事実でしょうけど、先週後半からおぼろげながらも、相場に落ち着きが見え始めていただけに、「まだ終わってないか…」との失望感は避けられず、一気に冷や水状態で心理的にかなり響く大引けとなってしまいました。「疑心暗鬼」という言葉を片隅に追いやることが出来るのは、いつになることやら…。
● 結局、TOPIXも日経平均もモロ安値引け。今朝の日経平均SQ値を計算すると、前日比234.97円安の9071.28円(9時33分確定)で、寄付きから売られたものの、この程度の下落は多くが想定していたでしょう。前場はほぼ日経平均9000円あたりでの推移で、SQ値水準から大きく戻りはしなかったものの、売られもしなかったのです。ユーロが対円で130円を割り込んできたのは、後場寄付き直前。そして、スコーンって感じでユーロ安が進んだのが午後1時半前で、同時に対ドルでも円高が進行し、タイミング的に日本株が下げ足を速めたのと一致。
● もっとも、それ以降の円ユーロや円ドルは比較的落着いていたのに、日本株はズルズルと下落幅が拡大し続ける状況。かつて流行った「ユーロ高メリット銘柄リスト」は「地雷銘柄リスト」と化して市場筋の間を飛び交うなか、この辺からは、為替どうのこうのというよりも、心理的に「こりゃあ、到底買えない」という空気が広がってしまった印象でした。加えて、時間が進むとともにアジア各国市場もボロボロになり、余計に「到底買えない」感に拍車を掛けた格好。韓国市場などは、かなり悲壮感があったように感じました。「サムスン電子、サンディスクへの買収提案を撤回」 (日経)ってのも、あれだけウォンが急落してしまうと、どうしようもなかったのでしょうね。公式の理由には出てこないですけど…。
● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 記録。東証1部出来高は前日比7402万株増の21億5760万株、売買代金は逆に同18億円減の1兆8806億円と、指数の値動きが荒かった割には今一つ。買いが手控えられるなか、ビッドを売りに行かざるを得なかった向きが多かったことを感じさせます。東証1部値上がりはたったの75銘柄、値下がりは1602銘柄で、全面安。日経平均の日中値幅は523.45円(前場208.98円、後場330.04円)とかなり大きく、しかも「前場値幅+後場値幅≒1日の値幅」で、戻りらしい戻り局面が無かったことを物語っています。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、再びかなりの売り越し(4220万株売り/2560万株買い)でした。
● 少し話題変更でヘッジファンドの話。市場では、ヘッジファンドの解約通告期限を「45日ルール」などと呼ぶことが多いようです。つまり、投資家サイドがヘッジファンドを解約するには、当該月の月末から逆算して45日前に通告するという話。そのため、ヘッジファンドの決算が多いとされる11月末(本当にどの程度多いのかは良く分からない(^^;)を基準に逆算すると、解約に伴うドタバタ売りは「10月15日まで」との共通認識がある(あった)様子です。
● ヘッジファンドは流動性が高いファンドでも、基本的に月末でしか解約できない場合が圧倒的に多いのです(これはかなり確実)。基準価格(NAV per unit)を計算するのに、運用側も投資家側も月末が都合が良い(きちっとした数字が出る)点があるのです。ただ、流動性はファンドによってピンキリで、毎月解約可能なファンドもあれば、半年に1回しか解約できないファンドもあります。M&A系ファンドは一般的に流動性が低く、半期とか1年に1回のみというのは珍しくありません。一方で、クオンツ系ファンドのように分散が効いたファンドは、毎月の流動性があるものが多いです。M&A系ファンドなどは、個別企業の発行済み株式数のかなりの部分を保有してたりするので、日々の流動性に対するポジションが大きくなり、解約が来た場合に、その対応(現金化)に時間が掛かるってことです。
● そこまでは良いとして、普段からこの「45日ルール」について、かなり不思議に感じています(^^;。実際にヘッジファンドにある程度足を突っ込んでいる方々からは、「そんなに45日ノーティスばかりでもないのにねぇ~」って声の方が良く聞こえてくる印象があるのです(^^;。私にしても全体像を把握するには程遠いのは自覚しているし、実際に「どう」と言い切れるほど数多くのファンドを見ているのではありません。なので、かなり曖昧な話で恐縮ですけど、それでも15日や30日ノーティス、3ヶ月ノーティスなどは良く見掛けるし、個人的な印象として45日ノーティスが大多数とは感じないのです。いつからなんでしょうね、日本で「45日ルール」が定説として広まったのは?(^^; (^^;
● もっとも、今回は解約の申し出が届く前から、圧倒的な「現金化」の動きがあったわけで、単に解約対応だけではないのです。この辺は語れば長くなるので端折りますが、この1~2ヶ月ほどの「現金化」の動きは、最初はレバレッジの縮小(デ・レバレッジング)から始まったのです。この結果、相場が大きく動きボラティリティーが急激に上昇してたことで、意図しないほどのリスクを抱えてしまう結果になり、慌ててリスク縮小(リスク・リダクション)に一斉に走り、それが余計に相場のボラティリティーを高める悪循環に陥ったのです。リスク・リダクションとデ・レバレッジングは大規模な同時進行となり、マーケットは大きく歪み、それが運用成績悪化。そうなると、当然のように解約もドンドン出てきます。リスク・リダクションと同時に、解約に備えて現金を手元に確保しておきたい意向もドンドン高まり、それが余計にポジション解消を誘発して…、って感じです。
● 先週後半から、ようやくグローバルな大津波が収まってきたような雰囲気があっただけに、今日の相場では「10月15日過ぎたのに、何でこんなに売るの?」的な失望感があったのでしょう。失望感に加えて、「まだ続いているのか…」、「いつまで続くのか?」といった不透明感が増してしまい、「買ってる場合じゃあない」と買い手が萎縮してしまう状態。今日の相場でも、午後から一気に崩れた印象があったし、他のアジア市場の崩れ方もみると、日本だけではない資金の動きがあったことを想像させます。もっとも、究極的に背景が見えてくるとしても、まだ相当先の話でしょうけど…。
● 話が長くなってしまったのですが、関連ニュースを一つ。ヘッジファンドクルークでは、「株価続落の原因、ヘッジファンドではなく投資信託の資金確保―米トリムタブス調査」 との記事がありました。元ネタはダウジョーンズの「Forced Hedge Fund Selling May Be Over For Now, TrimTabs Says」ですが、英語よりも日本語で読む方が楽です(^^;。いずれにしろ、まだしばらく一喜一憂の流れは変わりそうにありません。今日の相場でそれをかなり感じてしまった次第です。なお、このサイトのニュースを読むには、無料会員登録が必要です。為念。
● 最後に、夕凪さんの「ダントツ投資研究所」で、「似ているチャートその後」 (http://yuunagi.enjyuku-blog.com/archives/2008_10_post_284.html にもある)がアップデートされています。経済情勢やら相場環境は全く違うのですが、グラフの形やタイミングがかなり似通っているように見えます。相場を動かす要因は何であれ、相場心理の揺れ方には大差ないのかも知れません(^^;。ただし、「かつてこうだった」が「これからどうなる」と同じかどうかは分かりません。為念。
2008年10月16日(木) .... 再び急落、米株式急落受けてTOPIX/日経平均は歴代第2位の下落率
TOPIX : 864.52 (-90.99, -9.52%) | 日経平均 : 8458.45 (-1089.02, -11.41%) | 円ドル : 100.10 |
● 米国株市場が再度急落。NYダウは前日比733.08ドル安(-7.87%)、S&P500はもっと酷くて-90.17pt(-9.03%)。公的資金注入をまるっきり無視するように急落する相場は、一般的相場解説としては「実体経済の悪化懸念」でしょうけど、ある意味では信用恐慌を連想させる出来事が、金融業界以外でも発生することを想定してしまった可能性があります。一度心理的に壊れてしまうと、極端なケース(企業破綻など)を「有り得ない」と考えることが不可能になり、そのリスクを価格に織り込まざるを得なくなってしまいます。「有り得ない」を普通に「有り得ない」と考えることが出来るようになると、それだけで極端に価格に織り込んだ部分だけでも戻るのですが…。
● 日本株市場。米国株の急落を受けてCME日経平均先物は大証比1025円安(!)の8465円。当然、こちらの先物もその水準を目指して急落。日経平均先物はCME水準を下回る8300円で寄付き、そこでサーキットブレーカー発動で一時取引中断。ただ、比較的早い時間帯に松下(ではなくパナソニック(^^;。6752)などが寄付き(9時05分)、これだけ海運市況がボロボロにも関わらず郵船(9101)が9時20分に寄付くなど、「おっ、意外に早く寄るやん」って印象。株価が100円台の銘柄(太平洋セメント、三菱自動車、川重、IHIなど)は、あちこちでスッと寄付き、個人投資家の参戦をかなり感じた状況。前回の暴落局面で買いそびれた向きが「えいやぁ!」と買い入れた雰囲気でした。
● 9時45分頃には日経平均採用銘柄で寄付いていないのが残り15銘柄となり、大部分の銘柄は寄付いた状態。この辺からザラ場相場スタート。その後、戻りかけては押され、売られかけては戻しと、ずっと底辺でさまよっていた相場は、後場最後の1時間ぐらいに息切れ状態になり今日の安値を更新。この辺からストップ安に張り付く銘柄も増加し、結局、TOPIXは安値圏での大引け、日経平均はモロ安値引けでした。TOPIXも日経平均も歴代第2位の下落率。ちなみに、歴代第1位はブラックマンデー(1987年10月20日、TOPIX=-14.62%、日経平均=-14.90%)で、これまでの第2位はスターリンショック(1953年3月5日、TOPIX=-8.75%、日経平均=-10.00%)でした。
● 今日も歴史的な1日になってしまったので、日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● セクターは東証33業種全てがマイナス。ただし、ブリヂストン(5108)、住友ゴム(5110)がプラスだったこともあって、ゴム製品は最後の最後までプラスを維持していたのです(最終的にはマイナス)。ほか個別銘柄では、花王(4452)、ローソン(2651)、ファミリーマート(8028)、ダイセキ(9793)などが、こんな日にプラスでした。ただ、どうしても目立つのは圧倒的なマイナスだった点。海運はバルチックドライ指数が崩壊状態(開所以来最大の下落)に陥ったこともあって、軒並み大幅安。ほか、商社や鉄鋼、非鉄なども悲惨で、テクノロジー系は買い手不在が如実に出てしまった格好。見慣れてしまった10%超下落が、そこら中に散乱して、手が付けられない状態。市場全体の出来高は多くは無かったので、買物薄のなかを、換金売り・解約売り、もしくは投げ売りなど、とにかく売りたい向きがビッドを叩いた状態が分かります。はぁ~~(T_T)。
● 記録。東証1部出来高は前日比4835万株増の25億6068万株、売買代金は逆に同1669億円減の2兆1758億円。指数の動きの割には、商いが膨らまなかった様子が見て取れます。東証1部値上がりはたったの87銘柄、値下がりは1611銘柄で、文句なしの「全面安」。今朝の日経平均SQ値を計算すると、前日比926.56円安の8620.91円(9時54分確定)と、寄付きから売られたことが分かります。ある意味では、寄付きから160円ほど下げて引けているので、ザラ場の売り圧力はこの程度だったのかもしれません(ストップ安で売るに売れないのはあったとしても…)。日経平均の日中値幅は942.40円(前場841.08円、後場272.18円)ですが、これは前回同様にミスリーディング。SQ値を寄付値と考えると、前日比で大きく動いたほどはザラ場で動かなかったことが分かります。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、一転して大幅な売り越し(4320万株売り/1630万株買い)でした。
● 一歩引いてみるまでもなく、金融危機で資金のパイプが詰まり、心理的な圧迫感から個人消費が急激に落ち込み、それに伴って実体経済が悪化するのは、まさに日本の「失われた10年」と同じ状況。実体経済の悪化とともに日本で発生したのが、長期的なデフレ。とりわけ資産デフレ/逆資産効果が進行し、それが余計に金融システムを痛めつけ、巡ってさらに実体経済を傷つけるという、出口の見えない悪循環が続いたのです。ここまでの米国発グローバル金融危機が、不思議なぐらい日本の「失われた10年」と似通った流れになっているのは否定し難い状態。そうなってくると米国(や欧州)が、何か相当に違う方策でも出さない限り、同じような方向に進む可能性を考えざるを得ない印象です。
● 当時、日本でも超低金利が長期間に渡って浸透したおかげで、現金保有が増大したのですが、それが必要資金が流れないフン詰まり状態にもなり、最後は量的緩和で無理矢理動かす羽目になりました。それが次の不動産バブル(ミニ規模だったけど…)を生み、足元で弾けつつあるのですが…(^^;。貯蓄癖の乏しい米国人が全く同じ行動を取るとは思えないものの、資金の流れがフン詰まりになっている状況は似たり寄ったり。どうやって資金をスムーズに流すことが出来るのか、極端な話、「現金保有が損をする」という状態を景気配慮の低金利のなかでどう演出できるか…。いや、簡単ではないのは皆が分かっているんです。だからこそ、こんなマーケットになってしまっているんです。
● 欧州市場もかなり悲惨なスタートだったものの、これを書いている時点では、かなり戻っています(大幅安だけど暴落ではない水準)。GLOBEXの米株価指数先物もプラスになってきて、イブニングの日経平均先物も高く、少しだけ期待しておきましょう(^^;。どっちにしろ、米国株式市場次第ですけど…。
2008年10月10日(金) .... 再び急落、日経平均は一時1000円超もの下落
TOPIX : 840.86 (-64.25, -7.10%) | 日経平均 : 8276.43 (-881.06, -9.62%) | 円ドル : 98.65 |
● 世界的な協調利下げも全く効かず、空売り解禁の米株式市場では、GM(GM)がボロボロに売られ、NYダウは678.91ドル安(-7.33%)、S&P500は-75.02pt(-7.62%)の暴落。CME日経平均先物も引けに掛けて奈落の底状態で大証比585円安。ところが、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、一転して大幅な買い越し(1900万株売り/3290万株買い)。「えっ?買い越し?」って感じでシグナルは妙に交錯。そして日本はミニSQ。
● Excel上の日経平均速算値は、8時40分で前日比1200円ほど。実は、最後までこの値は大きく変化せず、9時直前にバスケット買いが入った様子ながら、SQとは関係ない膨大な売り圧力のおかげで、状況が良く見えない状態(^^;。あまりに特別売り気配銘柄が多くて、9時30分時点でも日経平均採用225銘柄のうち、175銘柄が寄付かず。日経平均が前日比で1000円安超になった時点(9時41分)でも、まだ103銘柄が寄付いていない悲惨な状況。ただ、先物などは9時半頃には戻りに入り始めており、その効果が出てきたのに加えて、多少は買いが入ったようで、10時03分にユニー(8270)が寄付き、最後まで残っていた豊田通商(8015)はこの時点でストップ安売り気配だったので、事実上、SQ値は確定。その豊田通商も10時06分に寄付き、SQ値は前日比1164.89円安の7992.60円と、悲惨な結果になりました。
● 市場筋推計によると、SQ関連売買は約1億5000万株~2億5000万株/約1500億円~2500億円程度とのこと。また、10月限のオプションは権利行使価格が9000円までだったので(SQ週には追加設定がない)、プットが全部イン・ザ・マネーになるという、前代未聞のSQでした。昔にはオプションの権利行使価格が1万円超に渡って存在し、銘柄コードに補助コードが適用されたという異常事態もありましたけど…(そんなこと覚えてる向きも少ないだろうけど(^^;)。
● 大部分の銘柄が寄付いた10時過ぎには、そこまで戻り歩調だった先物の上値が重たくなってしまう状況。ただ、そこから大きく売り込む感じではなく、後場中盤までは安値圏での右往左往。ただ、大きく下げた後だけに、ソコソコの値動きがありました。後場中盤以降は、商社株の一角やコマツ(6301)など、これまでの相場下落の象徴のような銘柄が意外にもプラスに転じて、雰囲気がかなり好転。前日比での大幅安は変わらなかったものの、最後の1時間の雰囲気は、多少明るい方向に変わった印象でした。もっとも、先物は現物引け後の10分間でかなり売られており、拭いきれない不安感が否定できなかった感じです。
● 日経平均と日経平均先物(12月限)の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 「コツン」が聞こえたかと言われると、まだ何とも言えません。テクニカル指標を含めて、あちこちで異常値が頻発しているのは事実です。今朝の売られ方は、相当にパニック的になっていたのも事実。ただ、水準的なものはともかく、タイミングを数日間違えれば、簡単に1~2割やられる地合いです(^^;。こういう状況下では、一度、距離を置くことを決めた投資家が戻ってくるには、時間を掛けるしかないことが多いのです。もちろん、全く予想していなかったような状況変化によって、相場環境が一夜にして一変する可能性はあるのですが、そんな奇跡のようなことを前提にして投資するワケには行きません。どの程度の時間が必要かは、状況次第。場合によっては2週間ほどかもしれないし、悪ければ2年間必要かもしれません。それも含めて、相場に出入りするタイミングが重要だと考えています。それがなかなか見えてこないんですよねぇ~(^^;。
● 今日も記録的な1日だったことは確かなので、前回のようにSQ値などを抜き出しておきます。今日は寄付くのに時間が掛かったので、画面上で見る指数の始値は、あまり意味が乏しいのでSQ値を使っています。同様の理由で、ザラ場高値は後場高値を使っています。また、SQ値は取引所発表のものを使っています。実は今日のSQ値は、TOPIXでも日経平均でも「幻のSQ値」。つまり、寄付きで相当量の「投げ売り」が出たことを示唆しています。また、今後、SQ値が下値支持になる可能性もあるので、注目しておきます。それにしても、こうやって眺めてみると、今日の値幅は凄いですね(^^;。
TOPIX | 日経平均 | |||||||
指数値 | 前日比 | 前比率 | 時刻 | 指数値 | 前日比 | 前比率 | 時刻 | |
SQ値 | 821.74 | -83.37 | -9.21% | 15:00 | 7992.60 | -1164.89 | -12.72% | 10:06 |
後場高値 | 857.06 | -48.05 | -5.31% | 14:25 | 8476.74 | -680.75 | -7.43% | 14:25 |
日中安値 | 823.46 | -81.65 | -9.02% | 9:35 | 8115.41 | -1042.0 | -11.38% | 9:41 |
終値 | 840.86 | -64.25 | -7.10% | 15:00 | 8276.43 | -881.06 | -9.62% | 15:00 |
(SQ値は取引所発表値) |
● その他の記録。東証1部出来高は前日比3億5543万株増の32億7441万株、売買代金は同1605億円増の2兆6353億円でした。ミニSQ関連売買が2億株/2000億円あったとしても、一応、出来高で30億株ほどは出来た格好。東証1部値上がりは175銘柄、値下がりは1499銘柄で、先日10月8日の値上がり44銘柄/値下がり1649銘柄よりはかなりマシでした。一方、指数ベースの日経平均の日中値幅は900.93(前場900.93円、後場290.68円)と、トンでもない数字でしたが、これはミスリーディング。"実質"の値幅は上記表をご参照ください。また、今日の毎分東証1部売買代金分布は、なかなか見れないような形だったので、こちらに画像を貼り付けておきます(別窓で開きます)。朝方から全然寄付かなかった様子が良く分かります。ただ、前後場の分布はSQと感じさせないイメージでした。また、大引け前に商いが盛り上がった状況もご覧頂ければと…。
● そうそう、月曜日(10月13日)の米国はコロンバスデー。FRBのスケジュールに従う為替などは休場ですが、株式は通常通りの取引です。ただ、薄商いになるのが通例です。NYSE休日スケジュールはこちらをご参照。
● 雑談。昨夕、不動産投資信託(REIT)のニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生法の適用を申請。ところが、夜のニュースで見た記者会見では、新井潤代表が、ニコニコしながら頭を下げていたのに、ちょっとビックリ。確かに、あの「申し訳ありませんでした!」は非常に日本的なシーンだし、本当に申し訳なく思って頭を下げている場合もあるだろうけど、ある意味では"演出"であり"儀式"。この代表の場合、J-REITマーケットそのものを破壊しかねないような羽目に陥りながら、その"演技"すらも満足に出来ないとは…。今日の東証REIT指数は、前日比-11.99%と暴落状態でした。詳細は帝国データーバンクの 「大型倒産速報」 をどうぞ。
● 今日は長文&まとまりの無い文章でスミマセンでした。良い週末/連休を!
2008年10月08日(水) .... 連日の急落、TOPIXも日経平均も下落率で歴代第3位。現金化の動き止まらず
TOPIX : 899.01 (-78.60, -8.04%) | 日経平均 : 9203.32 (-952.58, -9.38%) | 円ドル : 100.35 |
● 急落する相場にも、ある程度は見慣れてきた感があるものの、やっぱり非常事態。TOPIXは手元に記録が無かったので、東証に直接聞いてみたのですが、今日の下落率は開所以来第3位の下落率(指数は遡って計算されている)。日経平均も歴代第3位の下落率、下落幅では18位でした(日経平均プロフィル)。如何に今日の下落がひどく、歴史に残る非常事態だったかが分かります。ちなみに、歴代第1位はTOPIXも日経平均も、ブラックマンデー(1987年10月20日、TOPIX=-14.62%、日経平均=-14.90%)で、第2位はスターリンショック(1953年3月5日、TOPIX=-8.75%、日経平均=-10.00%)です。
● 昨日は一時的にしろ下げ止まりそうな雰囲気があったのに、オーバーナイトで米国株式がドカンと来てしまうと、また打つ手なし状態。午後はGLOBEXの米先物はプラスになったりしていたものの、相場はそれを完全無視(これを書いている時点では、GLOBEXもかなり安い)。急速な「リスク資産現金化」の流れが止まるどころか、加速していた感がありました。午後2時過ぎには、板薄のなかをスルスルと戻す局面があったものの、そこで円ドルが100円突破。これで、株式も見事な返り討ち状態になってしまい、その後は、スコーン、スコーンと買物薄のなかを一段安。主力銘柄が軒並み10%もの下落率を記録するなかで指数も暴落。ほぼ安値圏で取引を終了しています。現物が引けた後の10分間で先物は一段と売られ、最近見たことが無いほどの逆ザヤ。今晩の米国株が立ち直らなければ、現物が下落する格好で先物に追い付くのでしょう。
● 今日は、日経平均と日経平均先物(12月限)の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。全体に戻り局面がほとんど無かった点と、先物が最後の10分間で売られてしまった様子をご覧頂ければと…。
● TOPIXも日経平均も5日続落。この5日間で、TOPIXは-202.12pt(-18.36%)、日経平均は-2164.94円(-19.04%)というトンでもない下落を記録しています。まさに、超音速で落ちてくるナイフ状態で、これを怪我せずに素手で受け止めることの出来る人は限りなくゼロに近い状態。多くは遠巻きに見守るのが精一杯で、勇気のある向きでも、地面に落ちて跳ね返るところで掴みに行こうと考えているハズ。一方で、解約に直面しているファンドや、色々な事情で資金繰りが悪化している向きは、「とにかく現金化」の動きを加速させます。値段など関係なく、とにかく現金化することが最優先になっているなかでは、買い指値のあるところに売りをぶつけるしかなく、文字通りの投げ売りをせざるを得なくなっています。買い手不足は深刻で、現金化を急ぐ向きだけが目立つ悲惨な地合いでした。
● この水準まで下がってくると、さすがに公的資金や国内年金資金が買いを入れる可能性が出てきます。もちろん、相場観での買いではなく、あらかじめ定められた資産運用比率を保つためです。つまり、足元で債券が上昇して株式が下がっていることから、「債券比率が高くなり過ぎ/株式比率が低くなり過ぎ」といった状況が発生すれば、債券を売って株式を買う必要がある、ということ。もっとも、実際に現場で運用しているFM諸氏に"強気筋"なんて居ようハズもなく(^^;、もし資産配分比率をキープする目的で株式を買うにしても、淡々と執行されるのでしょう。既に実際に買いが入っている可能性も十分にあるものの、ここ数日は、あまりに売り圧力が強過ぎて、その姿が全然見えません(^^;。
● 売りの主体はヘッジファンドや海外からの投信など、外国人投資家が主だったところでしょうけど、国内からも売りが出てきているのも感じました。FM諸氏からすると、自分が持っている銘柄ばかりが売られているとの心境だと推察します。つまり「理屈が付く銘柄」ほど売られているのが現状。同じような考え方をして、同じように銘柄選択をして、同じように保有されている銘柄群がバカスカと売られているのです。今のマーケットでは、独立した考え方をする向き(主に個人投資家)が少なくなっていることを、改めて感じさせられている格好です。「リスク・リダクション」と「現金化」の流れがどこで止まるのか?相場が落ち着きを取り戻すのがいつになるのか?傷の深さがエグイだけに、落着いてもすぐに資金が戻ってくる状態にならない覚悟は必要です。その上で、タイミングです。この言葉、毎日書いている気がするんですが(^^;、なかなか見えてきません。
● 個別銘柄の値動きなどは、他のマーケットレポートを参照頂くとして(^^;、記録に行きましょう。東証1部出来高は前日比1億0728万株減の28億5785万株、売買代金は同1054億円減の2兆4217億円。これだけ指数が動いたのに、出来高も売買代金も前日比で増加しなかったというのは、買い指値にぶつける売りが圧倒的だったことを物語っています。つまり、売り買いが交錯したのではなく、単に「買いが売られた」状態で、しかも下値まで売り叩いてきたので指数の下落が厳しかった、と読み取れるのです。東証1部値上がりはたったの44銘柄、値下がりは1649銘柄に達し、間違いなく「全面安」。
● 今朝の日経平均SQ値を計算すると、前日比335.79円安の9820.11円(9時24分確定)。この時点でも「厳しいなぁ~」と考えていたものの、終わってみれば「寄付きで全部売れば良かった」状態でした(T_T)。ザラ場でもフォロースルーの売りが、かなり多かったことも物語っています。日経平均の日中値幅は851.83円(前場324.78円、後場561.40円)と非常に大きく、前後場の値幅を足せばほとんど日中値幅になるというのは、日中ほとんど戻りらしい戻りがなくて下げ続けたこと。前後場の売買代金分布を見ると、前場が38.59%に対して後場が61.41%と、この点からも、後場の下げが予想以上だったことをうかがわせる数字です。なお、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、引き続き売り越し(3110万株売り/2710万株買い)でした。
● 余談ですが、今日の下落でトヨタ自動車(7203)がTOPIXウェイト第1位を三菱UFJFG(8306)に明け渡しました。手元の計算ですが、三菱UFJ FGのTOPIXウェイトは3.85%、トヨタが3.65%。これがいつ以来というのは調べてないので不明ですが、今回の下落を象徴しているような気がします。なお、TOPIXウェイト上位5銘柄は順番に、三菱UFJ FG、トヨタ自動車、三井住友FG(8316)、みずほFG(8411)、NTT(9432)です。
● 最後にもう一つ。昨夕発表されたFFW見直しやTOPIXニューインデックス変更についても書きたかったのですが、この嵐の中では…(^^;。東証HP内の 「浮動株比率」 、及び、 「TOPIX Core30等株価指数の構成銘柄の定期選定について」 をご参照ください。
2008年03月17日(月) .... 大幅続落、急速な円高進行&諸々悪材料で警戒感強まるばかり
TOPIX : 1149.65 (-43.58, -3.65%) | 日経平均 : 11787.51 (-454.09, -3.71%) | 円ドル : 97.25 |
● 週末の米国株市場がヤバイ雰囲気で、沈滞ムードで月曜日を迎えた日本。ところが、朝から「JPモルガンがベア・スターンズを買収」と「米FRB公定歩合緊急引き下げ」の大きなニュースが2連発。「日曜日の夜に…」とその決意もうかがえたし、この瞬間にはGLOBEXの米株価指数先物もプラス。ただ、30分間も経過しないうちに、GLOBEXはすぐにマイナス転落となってしまい、これで寄付の雰囲気は決まってしまった感じ。さらに寄付き直前に円が対ドルで98円を突破。9時半前には1ドル=96円台突入。「あぁぁぁ~~~」って感じのフリーフォール状態に陥り、対ドルで1995年9月以来、12年半ぶりの円高水準。当時、バブル崩壊後で低迷していた株式市場でしたが、それでも日経平均は18000円台だったのですけど…。為替が止まらなければ、株式市場も止まらないというスパイラル的な値動きになってしまいました。
● 寄付きの売りが一巡してからは、突っ込み警戒感もあって横ばったものの、前引けに掛けて再びザラ場安値を更新。日経平均で約500円超安と酷い状態に陥ってしまいました。昼休み中に円は対ドルで95円台に突っ込んだことや、昼休み立会外バスケット取引も売り越し気味だったこともあって、後場寄付き直後にザラ場安値を記録。その後、後場大半は横ばいだったものの、最後に再び下落歩調。ザラ場安値を更新するまでは行かなかったものの、不安感でいっぱいの引け味でした。TOPIXはザラ場で53.61pt安(-4.49%、12時32分)まであり、日経平均は550.60円安(-4.50%、12時36分)までありました。日経平均の12000円割れは、2005年8月9日以来、約2年7カ月ぶり。「ぶり」の大漁の1日になってしまいました。
● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● ベア・スターンズの件も、最初に画面上に「JPモルガンがベア・スターンズを買収」と流れた時には、「これで決着したか…」的に好感する雰囲気もあったのです。でも、「買収価格は1株あたり2ドル」と来て「なんじゃそりゃあ?」状態。下記がベア・スターンズ(BSC)の5日間日中足(出典:Yahoo! Finance)ですが、ご覧頂ければ分かるように、市場で何かと噂が流れていた先週でも、ざっくりと60~70ドルの動き。市場で「ヤバイ」という観測が流れた木曜日で50ドル台、「ホンマにヤバイ」の金曜日でも30ドル台(終値は30.00ドル)だったのです。それがたった2ドル。これが一気に市場関係者の警戒感を強めてしまいました。
● 落ち着いて考えれば誰でも分かりますが、「曲がりなりにもマーケットで30ドルの値が付いていた株が、買収するとなるとたった2ドルにしかならない」、つまり「他の金融機関も、果たして今の株価が信じれるのかどうか?」ってスパイラル的な悪い方向への連想ゲームになってしまった格好。考え出したらキリがありません。でも、JPモルガンが1株あたり2ドルしか出さないと言い、その値段で決着したというのは、売り手も「仕方がない」と合意するに足る理由があったと考えざるを得ないのです。これはどう考えても好材料にならないのは当然。しかし、エグイ値段です。ホンマ…。
● ただ、敢えて今日の相場に光を探すとすると、これだけ悲惨な相場だったなかで、指数が安値を付けに行く時間帯にポツポツと上昇する銘柄も出てきたこと。そのリード役は別子(住友金属鉱山)だったでしょうか。前場終盤にもプラス転換していたのですが、後場に入ってすぐに再度プラス転換すると、その後は意外なほどの力強さを発揮。それ以外でも、鉄鋼株(JFE、新日鉄)がプラスで終わっているのも、これだけ地合いが悪い中では注目に値するかもしれません。なんせ、東証1部値上がりはわずかに179銘柄で、値下がりは1507銘柄と「ほぼ全面安」だったのですから。多少のヤセ我慢とヤケクソが入っていたとしても…です(^^;。TOPIX 500ユニバースで52週高値/安値更新銘柄をBloombergで見ると、高値更新銘柄はなし。安値更新銘柄はなんと255銘柄。つまり、500銘柄(現在499銘柄)の半分以上が52週安値を更新したという、惨憺たる1日だったのです。そう考えると、別子とかJFEなどの堅調さは、値打ちがあるようにも思えます。もっとも、問題は続くかどうかですけど…。ちょっとだけ願いを込めて、住友金属鉱山(5713)の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 記録。東証1部出来高は前週末比6億9690万株減の24億5200万株、売買代金は同1兆2269億円減の2兆5599億円。前日比で大きく減っているのですが、先週金曜日がビッグSQだったため。その前は出来高で20~22億株程度だったので、今日はそれなりに増加したことが分かります。もっとも、これだけ指数が大きく変動すれば、ってのはあると思いますが…。今朝の日経平均SQを計算すると、前週末比233.33円安の12008.27円(9時38分)。ある程度の覚悟はあったのです。また、日経平均の日中値幅は441.69円と膨らんだものの、前場が408.35円、後場が218.34円と、ほとんどが前場でした。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、引き続きかなりの売り越し(3460万株売り/2610万株買い)でした。
● それと、先物の手口も少し。今日は久しぶりに大型爆弾が飛び交った様子(^^;。日経平均先物で、UBSが6247枚売り越し、CSが4244枚売り越し、GSが1806枚売り越し。一方、SGが4317枚買い越し、野村が3339枚買い越し。TOPIX先物はもう少しスケールが小さかったものの、MSが2852枚売り越し、野村が1512枚売り越し、JPMが1409枚売り越し。買い手は、GSが2091枚買い越し、BNPPが1427枚買い越し、UBSが1336枚買い越しなど。売り買いが共に大きかったのはUBSでした。数字は全て売り買いの差引枚数です。
● 指数ヲタク向け業務連絡。先週金曜日はSQのドタバタで書き落ちていたのですが、アサックス(8772)が東証1部昇格となり、今日大引後にテクノメディカ(6678)の昇格が発表されています。どちらもかなり小さい銘柄ですので、それほど神経質になることはないと思います。いずれもTOPIX算入は4月末。東証HPの 「一部指定・市場変更・指定替え会社一覧」 にてご確認ください。
● 雑談。今日はセントパトリックス・デー。アイルランドの祝日ですが、米国では、パレードがあって、緑色のネクタイをして、緑色のビールを飲む日、という印象が強いです(^^;。昔、シカゴで勤務していた頃、Chicago Riverが見事に緑色に着色されていたのを、驚くやら呆れるやらで眺めていたのを妙に覚えています(^^;。もっとも、金融業界に居る人間からすると、今はお祭りって雰囲気ではないでしょうけど…。そして今週末はイースター(復活祭)。その前の金曜日にあたる3月21日はグッドフライデーでNYSEは休場です(NYSEの休場予定はこちら)。色々な意味で「復活」を期待したいところです。
2008年03月13日(木) .... 急反落、円高加速+ヘッジファンド危機報道相次ぎ不安強まる
TOPIX : 1215.87 (-39.26, -3.13%) | 日経平均 : 12433.44 (-427.69, -3.33%) | 円ドル : 100.10 |
● 寄付き段階から、米国株安などを嫌気して軟調にスタートし、その後も押し目買いらしい買いが入らないまま、ズルズルと下落幅拡大。昼休み中に円ドルがドカ~ンと円高方向になり、前場からの悪地合いに一層拍車。さらに、「カーライル・キャピタルが清算へ」とのニュースが伝わると、株式市場もついにドカ~ン。一気に売られてしまい、あっという間に大幅安。香港なども大幅安で、もう信用収縮・信用不安に手がつけられないって感じでした。
● 今朝のSQ値を計算すると、前日比135.46円安の12725.67円(9時14分)と、ほぼCME日経平均先物水準と妥当なところ。この辺までの下落は多くが想定していたでしょうけど、その後、下げ止まる気配がほとんど見えなかったのが、心理的にも堪えた格好。結局、TOPIXはザラ場で49.44pt安(-3.94%、14時05分)まであり、日経平均は509.41円安(-3.96%、14時05分)までありました。最後の1時間で若干戻したものの「焼け石に水」。結局、TOPIXも日経平均も昨年来安値を更新してしまいました。日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● また、ドル円もザラ場中は100円で踏ん張っていたものの、大引け後に100円突破。その後は若干戻ったものの、目標達成感が出たのかどうかが分かりません(まだのような気はするけど…)。ドル円の日中足(15分足)も付けておきます(出典:外為どっとコム)。
● 明日はビッグSQ。それだけに、「こんなところで無理する必要はない」がマーケットのコンセンサスだった感じ。それは、今日の出来高・売買代金を見ても良く分かります。東証1部出来高は前日比6499万株増の21億0644万株、売買代金は逆に同250億円減の2兆3939億円と、指数が大きく動いた割りに低調。売らざるを得ない向きが、買物薄のところを、値段を下げて売っている様子が想像できてしまうのです。一般投資家というよりも、ヘッジファンドなどが諸般の理由(貸し剥がし的な動き)のおかげでポジションを減らして「逃げ」たいのに、逆側のリスク・テーカーが世界的に不足しているため、どうしても株価下落でその辺の需給アンバランスを調整するしかありません。頭では分かっているのですが…。
● 明日のSQに関して、色々と騒がしいのは分かるのですが、SQはある意味でイベントに過ぎないのです。ただ、最近の流動性難を受けて、SQの高流動性をいわば「粗ゴミ回収」に利用する向きが出てくる可能性は十分に考えられます。ただし、ミスプライスを逆手に取る向きがそれなりに入ってくるはずなので、極端には心配していません。それ以上に、ここ最近の相場の問題は、海外の影響を大きく受けていることの方が気になるんです。とりわけ、ヘッジファンド筋の困難に起因する需給発生が、直接的にもそうだし、相場心理を通して間接的にもかなり影響を与えています。その点からすると、SQそのものよりも、次回の米FOMC(3月18日)がイベントとして焦点になりそうです。つまり、SQを通過したからといって、不透明感が解消するのではないってことです。
● その他の記録。東証1部値上がりは175銘柄、値下がりは1492銘柄と「ほぼ全面安」。日経平均の日中値幅は420.65円(前場186.74円、後場188.16円)でした。単純加算以上に日中値幅が大きいのは、後場SQ値が前引値よりも91.69円も低く、後場寄付きで下方向のギャップが発生していたからです。また、市場筋推計による今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、ほぼチャラ(2270万株売り/2250万株買い)でした。
● なお、文中で書いたヘッジファンド関連のニュースには、以下などがありました。他にも色々とあると思いますが、記録の意味も込めてここに載せておきま す。
カーライル・キャピタル:債権者と合意できず-残る負債もデフォルトへ (Bloomberg)
カーライル・キャピタルが債権者と合意できず、残り資産接収へ (ロイター)
カーライル・キャピタル:破たんに近づく-債権団と合意できず (Bloomberg)
ヘッジファンドのブルー・リバーも中核ファンド閉鎖,信用収縮で-FT (Bloomberg)
〔クロスマーケットアイ〕ドル安/株安加速させたヘッジファンド危機、換金売り警戒高まる (ロイター)
「破たん」キーワードに投機筋のドル売り活発化、12年ぶりの100円割れ (ロイター)
円100円突破:サブプライム発の信用不安と米金利低下-転機見えず (Bloomberg)
カーライル・キャピタル、資金調達できず破たんの恐れ (日経)
● そういえば、カーライルって日本株も保有していたはず。四季報CD-ROMの出番です。まぁ、現時点ではあまり心配することはないようですが…(^^;。
2008年01月23日(水) .... 急反発、期待と不安が交錯し伸び悩み感が残る展開
TOPIX : 1249.93 (+29.98, +2.46%) | 日経平均 : 12829.06 (+256.01, +2.04%) | 円ドル : 106.45 |
● 午前中は雪景色。朝出社した時はまだ降っていなかったのですが、7時過ぎからは真っ白になりました。オフィスから遠くに見える皇居前広場もさすがに一面、真っ白で道路だけ黒って感じ(^o^)。たまには良いですね。
● 相場。米国株式はマイナスだったものの、米国が祝日で休んでいた間に世界各国は5~7%程度は下落していたので、それを考慮すると、実質的にかなり高かったことになります。FRBの「緊急0.75%利下げ」は、それなりに効果を発揮したということでしょうか。そしてCME日経平均先物は大証比600円高の13110円で、とりあえず寄付で大幅高になるのは誰もが予想したでしょう。実際、日経平均先物は520円高の13030円で寄付き、瞬間的には13130円まで上昇。ただ、今朝のSQ値は前日比463.85円高の13036.90円、ザラ場の日経平均高値は同490.73円高の13063.78円だったので、ほぼ「寄り天」だったことも分かります。勢いを持続できるかどうか、不安感と期待感が交錯するなかで前場終了。
● 後場に入ると相場は一気に伸び悩み。後場SQ値は前場終値に対して174.22円も低い「昼休みギャップ」が発生(日経平均型バスケットの大口売り買いがあった)。他アジア市場の反応が今一つだったことや、GLOBEXの米株関連先物が軟調だったことが影響したのでしょうけど、市場での失望感はありあり。個別にも後場寄付きで売り気配になる銘柄やマイナス転落する銘柄が散見され、トレーダー間を犯人探しメールが飛び交っていました(^^;。いずれにしろ、いかにも「いかにも戻りが鈍い」との失望感は否定できず、13時09分には、TOPIXは前日比13.59pt高の1233.54pt(13時09分)、日経平均は同46.73円高の12619.78円まで伸び悩み。プラスを維持していたとしても、かなり強烈な「がっかり」感は否定できませんでした。
● しかし、これだけで終わらないところが今の気迷い相場(^^;。香港が高値追いになってくると、こちらも先物に大口買い爆弾が断続的に炸裂。断続的な裁定買いが引っ張る格好でグゥ~ンと再び上昇基調。どうも方向性が見え難いというか、チラチラと他人を気にしながら自信無さげな展開が続き、何となく「主導感」が乏しいままの相場。結局、前日比では大幅なプラスだったものの、CME日経平均先物の13110円からすると12800円は伸び悩み感が残る状況(極端な見方だと300円安だから)。もちろん、CME日経平均先物を基準にすることについては、大いに賛否両論があるでしょうけど、それでも前日比で大幅高の割には、煮え切らない感じが残ったのは事実でした。
● 今日も日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 記録。東証1部出来高は前日比2億6106万株減の25億2806万株、売買代金は同1097億円減の2兆9446億円。昨日の約1割減ってところ。東証1部値上がりは1444銘柄、値下がりは220銘柄。日経平均の日中値幅は444.00円(前場307.47円、後場258.40円)と引き続き荒い値動きが継続。東証1部の売買代金分布を見ると、前場が40.0%、後場が60.0%と、伸び悩みから切り返した後場に商いが盛り上がったのが分かります。最近は後場の方が色々と動きあるように感じます。また、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、小幅買い越し(4370万株株売り/4570万株買い)。市場筋によると、金額ベースでは株数ベース以上にかなりの買い越しだったとのこと。
● 今日もかなり指数の値動きは荒かったので、ちょっとまとめておきます。前日比と%、そして時間です。
指数 | 日中高値 | 日中安値 | ||
TOPIX | 1268.52 (+48.57 +3.98%) | 09:20 | 1233.54 (+13.59, +1.11%) | 13:09 |
日経平均 | 13063.78 (+490.73, +3.90%) | 09:16 | 12619.78 (+46.73, +0.37%) | 13:09 |
● また、東京大引後の展開についても少し。アジア市場がかなり強く推移したことで(香港ハンセン指数は+10.72%!)、日経平均先物のイブニングはかなり堅調にスタート。通常取引は12800円だったのが13070円まで行きました。ただ、それでもCME水準の13110円まで行かないところが何と言うか…(^^;。欧州株はその後まちまちからやや弱めだし、GLOBEXもまちまち。イブニングは12860円で終わっています。どちらにしろ、オーバーナイトの米国株&CME日経平均先物を見てから、明日の展開を考えることになるんですしネ(^^;。
● 最後に雑談。某ベテラン市場筋氏が今日のコメントに、「それにしましても、お願いだから、福田さんにしても額賀さんにしても、まともな発言などは一切望んでいませんので、余計なことだけは言ってほしくないものですね」と書いていらっしゃいましたが、本当に同感。昔から政治家のコメントで白けるのだけは変わりません。その点、小泉さんは、あれだけの外国人買いを呼び起こしたのは事実だし、ある意味で、「日本国」のセールスマンとしては優秀だったと思います。小泉プレミアムが完璧に剥げ落ちてしまっただけに、余計にそう感じてしまいます。
● 敢えて「雑談」部分で書きますが、利下げ余地がない日本としては、開き直って投機資金の供給元として世界に貢献するしかないでっしゃろ(^^;。世界中の投機資金に円キャリーをガンガンとやってもらうために、まずは為替介入。「これ以上の円高はないでぇ」というメッセージを明確にすれば、あとは勝手に転がります(^^;。もっとも、クレジットが良いヘッジファンドも減ったでしょうから、その辺を「大目に見る」というコンセンサスは要るかもしれませんが…。強調しておきますが、あくまでも「雑談」ですよ!
2007年11月21日(水) .... 再度大幅安、円高+外国人売り+買い手不在
TOPIX : 1438.72 (-30.55, -2.08%) | 日経平均 : 14837.66 (-373.86, -2.45%) | 円ドル : 108.85 |
● 昨日後場の切り返しで「撤退売り」が終わったかなと思っていたら、どうやら早計だったようで…。今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、引き続き大幅売り越し(5330万株売り/2630万株買い)。これで15日連続の売り越し。米国株式は乱高下の末にプラスだったものの、CME日経平均先物は大証比25円安で為替も円高気味。後場中盤には1ドル=108円台に突っ込んだこともあって一段安。ただ、外部環境だけでは、日経平均にして一時400円超も下落する状況ではなかったはず。普通に考える以上に売られたのは明らかで、需給面からの売り圧力が、買い方の投げ売りを誘発する悪循環の1日に陥ってしまいました。日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 市況欄などでは「先物に仕掛的な大口売り」と書くんでしょうけど、もし本当に仕掛けだったとしても、売った方が儲け易いと思わなければ誰も「売り仕掛け」なんてやりません。今のマーケットは、ホンのちょっとだけ蹴飛ばせば「あぁぁぁぁ~~~」って勝手に落ちていくというか、売りから入って儲け易い地合いにあります。これが買って儲かるようになれば、「仕掛的な大口買い」が入り、断続的な裁定買いを誘発するような事態にもなるんでしょうけど、今は逆方向に車輪が転がっている状態で、それを止めるにはかなりのエネルギーが必要です。今の相場は3分の2が外国人投資家の売買。そのご本尊が売りに廻っている状態だと、なかなか逆方向へのエネルギーが働き難いのです。
● 振り返ってみれば、昨日のように「焼け野原」状態に火が付くこともあるんですが、あれは台風の目に入った一瞬の晴れ間だったのかもしれません。昔、気象予報が発達していなかった頃には、台風の目を台風通過と誤解してしまい、一段と被害が拡大したことがあったそうですが、今日の相場は、呆然としながら、そんなことを考えさせられる状態でした。まだ終わってなかったのね…って感じで…。
● ファクター分析面でみると、今日も何もファクターがまともに効かない状態が再現し、それが1日中継続。バリューは相対比較感からはマシな方だったかもしれませんが、グロースもリバーサルも、テクニカル系の売買活況度やらβも駄目マーク。程度の差はあるにしろ、8月の「バリュー崩落」と似ている状況は継続していました。昨日午後は、一度、これが途切れたのですけど…。先日も某FM氏が皮肉っぽく「パッシブ・ファンドが一番成績良いんだよねぇ~」(当人はバリュー系クオンツファンドの運用担当者)とおっしゃっていましたが、今日もそんな感じだったと推察します。運用担当者の立場からすると、何かにティルトしているとやられる、というのは非常にしんどい状態。まだ自分の方針が間違っていて、あれをやれば儲かったがあった方が楽です。何をやっても駄目という八方塞り状態は、心理的に堪えるのです。
● 関連して、2~3日前から、複数の証券会社からクオンツ系ファンドの「8月メルトダウン相場の再現か?」といったレポートが出てくるようになりました。多くの場合、この手のレポートが出てくるようになると、そろそろ終盤局面かなとは考えています。ただ、バブルもそうなんですが、最後の2合ぐらいがおいしいし、逆に言えばしんどい(^^;ので、タイミングのホンの微妙な違いで、結果には大きな差が出てしまいます。感謝祭をまたいで相場が変化するかどうか、注意深く対応したいところです。
● 記録。東証1部出来高は前日比5億4879万株も減少して21億7218万株、売買代金は同4196億円も減少して2兆7902億円でした。昨日は出来高で8億0662万株増、売買代金で9256億円増だったので、その全てを失ったのではないにしろ、かなり減少したのは歴然。昨日との違いは、それなりに買い手が居たかどうか、という点。昨日は買い手が居たことで商いが膨らみ、最後はプラスで終われた一方、今日は買い手不在のおかげで最後まで売りに押されるままに終わってしまった格好。円キャリー解消も加わって加速する円高は大きな要因だったでしょうけど、あまりに弱い相場に買い手が気色悪くなってしまった可能性はあります(^^;。
● 今朝のSQ値を計算すると、前日比105.29円安の15106.23円(9時15分確定)。この時点で、CME日経平均先物の水準と比較して「ちょっと安いなぁ」とは考えていたものの…。日経平均のVWAPは14958.18円、日経平均の日中値幅は384.09円とかなり大きく、前場が154.53円、後場が225.19円と、後場のズッコケを見て取れます。東証1部値上がりは422銘柄、値下がりは1223銘柄。弱いのは弱いのですが、指数ほどは「下げ」っぽくありませんでした。小売り、電力・ガス、紙・パなど、実際はプラスの銘柄もソコソコあったからです。東証33業種でも、鉱業、紙パ、電力・ガス、小売りの各指数はプラスで終了しています。
● しかし、明日「以降」は、もうちょっと良い相場になることを祈りたいです。ホンマ…。そういえば、明日は「いい夫婦」(11月22日)の日だ(^^;。
2007年10月19日(金) .... 8月類似型の下落? 新興市場は軒並みプラス
TOPIX : 1591.28 (-26.47, -1.64%) | 日経平均 : 16814.37 (-291.72, -1.71%) | 円ドル : 115.00 |
● ブラックマンデー20周年。日経に見開き特集があったのはやや驚き(^^;。1987年というと私はまだ新人だったし、現在、証券界で中心選手になっている35歳前後の方々は、20年前には中学生か高校生だったんですネ(^^;。ブラックマンデー(日本では10月20日火曜日だった)当日は、ほとんどの銘柄が売り気配のまま取引成立しなかったので、場立ちの一人としては、注文を出すだけ出してしまえばヒマだったのを覚えています。それ以上に強烈に覚えているのは翌日。異常なほどの注文量で、立会銘柄だと成行注文でも1時間待ちは当たり前。約定案内は待てど暮らせど返って来ないし、指値訂正なんてのは不可能に近い状況でした。立会場もなくなった今となっては、爺さんの昔話状態ですけどネ…(^^;。
● 相場。海外市場の動向やシカゴ日経平均先物が大証比125円安だったことなどから、ある程度の売り基調は想像していたものの、それを上回る売られ方でした。特に朝方の1時間ほどは、円高に振れた為替の動きも円キャリーの解消を連想させたし、ちょっと8月を思い起こさせるような雰囲気。確信があるほどではなかったものの、何らかのアンワインドが進行していたことを想像させました。日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。これを見ただけでは、その辺の細かいことは見えて来ないのですが、後日のために…。
● 多くの相場解説では「円高を嫌気して…」という書き方になるのでしょうが、それは確かにその通り。でも、円高が原因で下がったのか、円キャリーのアンワインドの結果が円高で、それを嫌気したのかによって印象が異なります。個人的には後者の方で、ポジション縮小の結果が円キャリー解消につながってしまったと考えてしまいます。「ポジション縮小の売り→円キャリー解消→円高→買い手引っ込む→下がる前にと急いで売る→余計に下がる→ヘッジ売りが出る→余計にポジション縮小売り→円キャリー解消→円高…」というスパイラルは、どこか既視感がありました。
● また、消費者金融が思いのほかブッ飛んだほか(材料が重なったのもあったけど)、小売りや半導体関連も比較的堅調で、これまで売り込まれていた(ショートになっている可能性が高い)セクターが堅調で、鉄鋼、非鉄、海運などのロングになっていそうなところが駄目。サイズも小型の方がパフォーマンスが良かった点も含めて、何らかのアンワインドを想像させる状況が何かとありました。ただ、8月ほどバリューの大きな揺れが無かった点が違い。でも、今日は短期のリバーサルはちょっと異様なほど効いていたので、何か不自然な動きがあったのは違いないと感じています。もっとも、リバーサルに関しては、消費者金融が妙な影響を与えていたのは除けて考える必要はありますが…。
● 想像ですが、8月は圧倒的にロング/ショートのアンワインドが多かったものの、今回はもう少しロング・オンリーのアンワインドが多くなっているのかもしれません。今週は15日あたりから外国人売りが増えた印象だったのですが、時期的に11月末というヘッジファンドに多い決算月という点を考慮すると、1ヶ月~1ヵ月半前という解約通告時期の真っ最中。解約がある程度出ているのは、何となく連想出来ます。いずれにしても、「アンワインド=日本株から去っていく」なので、これもちょっと悲しくなっちゃいます。
● 一方で、東証1部がこれだけ大幅安だったのに、新興市場は軒並みプラス。これをどう理解すべきかは、難しいところです。TOPIXや日経平均は上記のようなパフォーマンスだったのに対して、東証マザーズ指数は+2.06%、大証ヘラクレス指数は+2.01%、ジャスダック総合指数は+1.48%と軒並みプラスで終了。TOPIX Smallは11bpの勝ちに留まったので、単なる小型株というのではなく、新興市場にフォーカスが向かっていた印象でした。
● もっとも、東証マザーズの指数寄与度ランキングをみると、ACCESSが+5.86pt、DeNAが+4.65pt、サイバーエージェントが+1.65pt、エリアリンクが+1.61pt、ソネットエンタテインメントが+1.16ptと、この5銘柄合計の寄与度が+14.93pt。マザーズ指数は+18.19ptだったので、この8割強を説明できることにはなります(^^;。それでも、ヘラクレス(USEN、エンジャパン、大証の3銘柄で+19.94ptのプラス寄与)も含めて、新興市場に資金が向かったのは確かでしょう。単なる買戻しだったのかどうかは、ちょっと先にならないと分かりませんが…。
● 記録。東証1部出来高は前日比3428万株減の17億1560万株、売買代金は同758億円減の2兆4878億円と、基本的には昨日とほぼ同水準。買いが手控えられて、あまり商いが盛り上がらないまま、指数か結構ズルッと滑ってしまったことが分かります。東証1部値上がりは243銘柄、値下がりは1431銘柄とかなり弱い状態。今朝のSQ値を計算すると、前日比177.11円安の16928.98円で、初っ端から結構安かったうえに、その後、ザラ場で売りが出たことを示唆しています。日経平均の1日値幅は253.43円(前場174.99円、後場111.02円)でした。また、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、5日ぶりに小幅な買い越し(4520万株売り/4790万株買い)でした。
● あまり天気は良く無さそうだし、相場も良くない(^^;んですが、良い週末を!
2007年08月17日(金) .... 相場の崩落止まらず、「円安バブル崩壊」で売りが売りを呼ぶ展開
TOPIX : 1480.39 (-87.07, -5.55%) | 日経平均 : 15273.68 (-874.81, -5.42%) | 円ドル : 112.60 |
● ある程度はリスクとして認識していたとしても、実際、これだけ急激に円高になってしまうと、パニック的な手仕舞い売りが先行するしかなかった状況。外国人投資家、特に円キャリーでレバレッジを効かせているヘッジファンドなどにおいては、「ポジション縮小→円キャリー解消→円高→円キャリー解消→ポジション縮小→株安→ポジション縮小…」というスパイラル構図。機関投資家にしてみると、第1四半期の業績好調のかなりの部分が円安頼みだったのは皆が承知。その前提条件が崩れてしまう懸念が広がると、もう「買えない」状況に陥ってしまいます。また、個人投資家のなかには、最近流行の為替証拠金取引で追証が発生したことは簡単に想像できるし、資金作りで株式を売る羽目に陥った向きも少なくなかったでしょう。あれはレバレッジの度合いがかなり大きいですから、これだけ為替が動くと厳しいことは想像できます。さらに、参加している層が株式市場と似ているのも、何となく想像できますから…。
● このところの信用問題、マネーの縮小という悪地合いに加えて、「円安バブル崩壊」というトドメが来た格好。まさに不安が不安を呼び、売りが売りを呼ぶ展開に陥ってしまいました。後日、多分、見直す時が来ると思うので、日経平均と日経平均先物(9月限)の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)
● 個別には、象徴的だったのが任天堂(7974)やガイシ(5333)のストップ安。これらの銘柄は、ある意味で上昇相場の「モメンタム」の象徴的な存在でした。それがこういう下げ方を演じるということは、最後まで抱いていた銘柄までも売る羽目になった、という印象を与えます。輸出関連だけでなく、商社や鉄、非鉄、海運なども大きな銘柄が軒並み10%超も下落するなんて、なかなか見れるモノではありません。一方で、「よぉ、これだけ売るわ…」的な売られ方をしていた通信株が今日も上昇。鉄道や紙パ銘柄の上昇などは、典型的なリバーサルの動き(内需とも言えるでしょうけど…)。
● 実際問題、これだけ突然、急激に円高になると、識者の皆さんなどが指摘する「日本株割安論」なんて飛んでしまいます。内需系銘柄のホンの一角が堅調だったのは救いと言えば救いだったでしょうが、多くの方々が資源頼み、外需頼みのポートフォリオになっているでしょうから、内需系が強くても、あまりメリットは感じなかったと想像します。一方、途中まで堅調だった銀行株は最後はズッコケ。某米系証券アナリスト氏がサブプライム問題に関して「周回遅れの幸運」と書いていましたが、まぁ、それじゃあ、積極的に買う理由にはなりませんわな…(^^;。
● ファクター分析から見ても、春先から好調だったグロースが一気に地位を失いつつあるのも特徴的です。ロング/ショートファンドの巻き戻しで引き金が引かれたバリューの崩壊から、色々な影響が他にも広がっているのを痛感しています。リターンリバーサルは春先からズッと駄目駄目マークが点灯していたのですが、相場急落局面に伴うボラティリティーの上昇を受けて、一気に取り戻しつつあります。相場に参加するにあたって、動きが早いほうが良いのか、半年単位でじっくり我慢する方が良いのかは分かりませんが、付いていくつもりだったら、相当に身軽・敏捷・軽薄でないとやってられない相場になってきました。
● また、世界中で株式へのエクスポージャーを減らす動きが拡大しているなかでは、時価総額の大きな銘柄が先に売られてしまうので、嵐の真っ最中に「落ちてくるナイフを素手で掴む」のは、相当の熟達の腕がないとリスクばかりが大きくなります。また、換金売りの場合、どうしても「売りやすい銘柄から売る」格好になるので、流動性に劣る中小型株が売られるのは、大型株の処分にメドが付いてからになりがち。今日も東証2部やJASDAQは東証1部ほどは下げていなかったものの、安心できるような状況ではありません。もちろん、市場が戻るんだったら、売らずに済む場合もあるんですが…。
● 一歩引いてみると、先週のバリュー崩壊時に感じた違和感は、少なくとも指数の値幅という観点からは、かなり解消されたようにも感じています。先週水曜日、木曜日のバリュー崩落局面では、指数はそれほど動かなかったのに、印象としては「日経平均1000円安2連発」を食らったように感じていました。あの時は、多少感情的(^^;になっていた面があったのは事実ですが、その前日にあたる先週火曜日(8月7日)終値から今日までの日経平均下げ幅は1660円弱。かなり「来た」のが分かります。もちろん、あの時の印象が基準にするべきとは限らないのですが、「指数が追い付いてきた」と言えなくも無いとは考えています。ただ、今回の傷はかなり深く、その傷が癒えるには時間が必要。数週間か数ヶ月か分かりませんが、皆がそれなりにポジションを縮小して、ホッと立ち返って考える「間」が取れて初めて、新たな展開がスタートするように考えています。
● 記録。東証1部出来高は、さすがに前日比2億6567万株も増加して29億4247万株、売買代金は同3431億円増の4兆2391億円と活況でした。売買代金の分布も下げが拡大した後場にかなりの偏りがあり、今日は前場が39.54%、後場が60.46%でした。普段は前場48%/後場52%程度なので、相当の歪みがあったことが分かります。今日はさすがに日経平均の日中値幅も大きくて、1日通しで800.49円。いつ以来かは調べていませんが、なかなか見れる数字ではありません。また、今朝のSQ値を計算すると、前日比159.80円安の15988.69円。つまり、かなり極端に思えるほどフォロースルーの売りが出ていたことが分かります。
● 東証1部値上がりはわずかに87銘柄、値下がりは1620銘柄と「全面安」。ただ、こんな相場でも52週高値を付けた銘柄はあって、それはニトリ(9843)でした(^^;。今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、引き続き大幅な売り越し(4890万株売り/3340万株買い)。市場筋によると、金額ベースでは昨日よりもはるかに多い売り越しで、銀行、自動車、電機などに幅広く売りが出ていたとのこと。ロングオンリーの売りが加速している雰囲気が感じ取れました。
● なお、余計なお世話(^^;かもしれませんが、日経平均プロフィルには 「歴代日経平均下落率ランキング」 があります。今日の下落はきつかったですけど、歴代下落率だと第16位相当です。下落幅だと20位より下なので、ランキングには登場しない程度です。ご参考に(^^;。
● 非常に疲れる2週間が終わりました。来週は日銀の金融決定会合が予定されていますが、個人的には、株式市場が相当な戻り(例えば2日で日経平均にして1000円とか)を演じることが出来ないと、今回は利上げは無理だと考えています。本来は日銀は株式市場にあわせて方針を決めるのではないハズですが、これだけの市場の崩落は見過ごせないと勝手に推測しています。
● 何はともあれ、ゆっくりと身体と心を休養させてください。今日は長文でしかも内容に一貫性が無い書き方になってしまってスミマセン。良い週末を!
2007年07月27日(金) .... 日経平均一時500円超下落、米国株安+円高+選挙控えで…
TOPIX : 1699.71 (-37.47, -2.16%) | 日経平均 : 17283.81 (-418.28, -2.36%) | 円ドル : 118.70 |
● 飲み会があったので更新が遅くなりました(^^;。
● NYダウが311.50ドル安(-2.26%)、円が118円台、シカゴ日経平均先物が大証比430円安、さらに今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、5日連続の売り越しで、しかも大幅な売り越し(4730万株売り/2740万株買い)となると、さすがに「キャン!」状態。Excel上の日経平均速算は8時45分頃には前日比1000円安、8時55分で830円安程度。SQだったら「どうせバスケット買いが入る」と安心して見ていられる(^^;のですが、今日はさすがにそういうワケには行きませんでした(^^;。日経平均先物がシカゴの水準で寄付いた後は横ばい/見送りムードの強いまま前場終了。
● 昼休みの立会外バスケット取引が買い越しだったのか、後場に入ってからはヒュッと戻り歩調。ソニー、丸紅、伊藤忠、野村、武田などがポツポツとプラス転換し始めて雰囲気が好転し掛けていたのです。ところが、13時20分前後に日経平均先物で大型爆弾が複数炸裂するとシュン。同じ頃に再び円が対ドルで118円台に突っ込んだことも加わって、戻すに戻せない地合いのまま1日を終了。選挙もあるし、今晩のNY市場動向がどうなるか?なんて一瞬でも考えると、この辺は致し方ない感じでした。
● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。Y軸縮尺の関係であまり動いていないように見えますが、少なくとも前日比ではかなり大きく動いた1日でした。
● チャートは少なくとも日足ベースでは、ブッ壊れました(^^;。昨日終値時点では言い訳の余地もあったのですが、今日はさすがに駄目。一方で、ボリンジャーでは -3σまで突っ込んだし、騰落レシオは75%割れまで下がっているし、何かと売られ過ぎシグナルが出てきているのも事実。さらに、あまり期待されていなかった通期業績の上方修正が意外に出てきているのも勇気付けられる要素。大きなところだと、日立建機(6305)、ホンダ(7267)、任天堂(7974)、日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)など。相場が落ち着きさえすれば、そういった方向に目が向かう可能性は十分にあると考えています。ただ、少なくともチャート面から見る限りでは、中期的な上昇トレンドは、いったん終了したと見るのが妥当でしょうか。
● 一歩下がって考えてみると、米国株式市場、さらに全世界の株式市場にとっては、サブ・プライムローン問題の直接的な影響というよりも、M&A資金の手当てが難しくなったり、ヘッジファンドへのクレジットが厳しくなったりして、運用資金枠が狭まってくる方が直接的な影響は大。加えて円キャリーの解消が加わると、投資・投機に廻せる資金はますますタイトになってしまいます。また、ボラティリティーが低かった環境から相場が一気に動くと、VaRが跳ねるので、どうしてもポジション調整(縮小)をせざるを得なくなってしまう面もあります。世界的な過剰流動性相場の中で、「チキンレース」っぽいところは否定できないだけに、その傾向に変化が出る空気があれば、相場は敏感に反応します。
● マーケットが大きく動いた時には、往々にしてポジションを縮小してリスクを抑えて、そして「嵐の過ぎ去るのを待つ」のが典型的対応方法。ただ、この「嵐」が一過性なのか、それとも数ヶ月単位で継続するものなのか、大きなトレンド変化なのか、単なる目先的な調整なのかで、結果はかなり違ってくるのは当然。迷う局面です…(^^;。
● 記録。東証1部出来高は、前日比4億9337万株も増加して25億0505万株、売買代金も同6048億円増の3兆6261億円と活況。ある程度は、セリング・クライマックス的な動きがあったことが分かります。特に、これまで賑わっていた銘柄を利食い売りしてポジションを抑え気味にする、というのはあったと考えています。一方、日経平均の日中値幅は258.43円と、さすがにそれなりの大きさ。前場が233.99円、後場が171.11円でした。また、ザラ場での安値も書いておくと、TOPIXは前日比で-47.67ポイント(-2.74%)まであり、日経平均は同505.93円安(-2.86%)までありました。安値を付けた時間には少し差があって、TOPIXは9時30分がザラ場安値だったものの、日経平均は14時27分がザラ場安値でした。
● 今朝のSQ値を計算すると、前日比456.12円安(!)の17245.97円。SQが決まったのは9時15分でした。その9時15時点で、東証1部値上がりは54銘柄、値下がりは1536銘柄。まだ寄付いていない銘柄が多かったのですが、9時30分時点では、↑41銘柄、↓1652銘柄の全面安。TOPIXが前場安値をつけたのが9時30分、日経平均は9時31分だったので、この辺がほぼドン底。前引段階では↑122銘柄、↓1544銘柄と、それなりに改善したものの「ほぼ全面安」状態。最終的に大引け段階では、東証1部値上がりは134銘柄、値下がりは1543銘柄で89%が下落する「全面安」でした。
● 一方、大引け後に公開された先物手口には、「CSはお休みだったのかな?」って感じ(^^;。日経平均先物では売り手はメリルが差引2083枚売り越し、ドイツが差引1937枚売り越し、JPMが2967枚売り(買いは非公開)。買い手は圧倒的にSGで差引4791枚買い越し、カリヨンが差引1638枚買い越し、MSが差し引き1209枚買い越しなど。注目(^^;のCSは差引960枚売り越しでした。一方、TOPIX先物では、CSが差引2440枚売り越し、買い手は野村が差引2358枚買い越し、GSが差引1275枚買い越し、みずほが1708枚買い(売りは非公開)でした。全体としては、派手なのはなかったですね。
● 今日は書き過ぎですね。良い週末を!
2007年07月11日(水) .... 続落、円高など受けて売り先行
TOPIX : 1767.72 (-21.48, -1.20%) | 日経平均 : 18049.51 (-203.16, -1.11%) | 円ドル : 121.25 |
● 寄付きから外部環境を素直に反映する格好で軟調な展開。特に円高方向に振れると、どうしても「円キャリー解消」→「リスクマネーの縮小」→「相場下落」という連鎖を想像してしまいます。ただ、日経平均先物の18050円近辺には大量の指値買いが入っており、結果的にそこを崩すことなく、ザラ場小動き相場が継続。よく例えられるのが、「高く跳ぶにはしゃがみこむ必要がある」ってこと。今は深くしゃがみこまないし、その分だけ上にも跳べないイメージ。中期的に下値を切り上げているのは分かるけど、今一つ面白みに乏しい市場になっています。出来高が盛り上がらないことが、それを良く表しています。
● 大きく下がった相場のように思えるかもしれませんが、今日の日経平均日中値幅はたったの87.79円。前場で1日の値動きをやってしまい、後場はわずかに46.23円。これで日経平均の日中値幅は4日連続で100円割れになります。7月5日が103.38円だったので、これも小動きと認定すると、6月29日に171.13円動いてからは、ずっと100円近辺の値動きが続いています。今日も日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。寄付きで飛んでからは、あまり動いていないのが分かると思います。
● 一方、大引け後に公開された先物の手口を見ると、今日はCS君が大量売り越し。日経平均先物で5416枚売り(買いは未公開)、TOPIX先物で6596枚売り(買いは未公開)でした。他にもカリヨン君、UBS君が売り越しだったので、何となく雰囲気は分かって頂けるかと。TOPIX先物でSG君が差引4227枚買い越しだったのが逆に目立ちました。CS君などが大量に売っても、今日は下値にかなりの買い指値が入っていて抜けませんでした。明日以降の動きにそれなりに注目です。今週末は13日の金曜日でSQです(^^;。
● 物色動向については、東証33業種のうち31業種が下落してしまうと、あまり言う事がありません(^^;。個別に目立ったのはNECエレク(6723)でストップ高買い気配のまま比例配分。ペリー・キャピタルから「お手紙」を受け取ったとの報道が発端ですが、25%相当を一株あたり5000円で買うなんて言い出しているそうですから、昨日終値3170円の株としては、そりゃあストップ高します。NECも「即、売った!」と言ってやれば良いのに…(^^;。他には、これだけ安いなかで頑張った銘柄が東芝、三菱電機、コマツ、日本製鋼所、トクヤマ、日本電気硝子など。物色パターンとしては、また少し前に戻った感がありました。
● 記録。東証1部出来高は前日比1億3209万株増の19億7574万株、売買代金は同2246億円増の2兆7166億円と、少しずつボトム脱出の雰囲気。東証1部値上がりは261銘柄、値下がりは1373銘柄で、指数から見ると妥当な印象。今朝のSQ値を計算すると、前日比149.90円安の18102.77円。結局は、この水準から大きく上下する展開にはなりませんでした。ザラ場のフォロースルーの少ない日々が続きます。また、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、2日連続の買い越し(2950万株売り3100万株買い)だったものの、市場筋によると金額ベースでは売り越しだったとのこと。
● 雑談。MLBのオールスターでイチロー選手がMVPを取ったそうですね(ランニングホームランも!)。動かない相場にあきれたトレーダー連中が多かったのか、ザラ場中から、色々なメールが飛び交っていました(^^;。しかし、あのような「舞台」で期待される以上のモノを出せるというのは、素直に感心します。今晩のスポーツニュース(一般ニュースも?)は、イチローだらけでしょうからハシゴして見ないと…(^^;。
2007年06月25日(月) .... 続落、久しぶりの月曜日安。上場廃止基準見直しについても…
TOPIX : 1764.87 (-13.12, -0.74%) | 日経平均 : 18087.48 (-101.15, -0.56%) | 円ドル : 123.90 |
● 前週末の米国株式市場が久しぶりに「金曜日安」となり、CME日経平均先物は大証比175円安。ただ、寄付き段階では安いのは当然としても、市場関係者の多くが"期待"したほどの下落にはなりませんでした。今朝のSQ値を計算すると、前週末比89.65円安の18098.98円。前場安値は18081.62円(同107.01円安、9時08分)だったので、CME水準からするとかなり下げ渋ったことが分かります。後場中盤には日経平均は一時前日比でプラス転換する局面があった(TOPIXはマイナスのままだった)ものの、その後は綺麗な右肩下がり。結局、安値圏での大引けとなり、やっぱりコメントに書いたら月曜高は途切れました(^^;。
● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。後場中盤にかけての戻しとその後のズッコケをご覧頂ければと…。
● 外部環境以外に特に悪材料と言うほどの材料はなく、全体感としては見送りムード。商社、不動産などの金利敏感系銘柄が売られ、本来なら金利上昇で儲かるハズの銀行株も腰砕け状態。相場リード役だった鉄・非鉄も軟調。円安を背景にテクノロジーの一角は堅調だったものの、自動車はまちまち。焦点ボケだった印象が強まるなかで、買い手控えムードになるのは止むを得ない格好。東証1部出来高は前週末比2038万株減の19億2793万株、売買代金は同2022億円減の2兆6436億円と今一つ。一方、東証1部値上がり325銘柄に対して値下がりは1323銘柄とかなり多く、指数以上に地合いが悪かった印象もありました。なお、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、ソコソコの売り越し(3610万株売り/2280万株買い)でした。
● さて、本日の主題(^^;に行きましょう。土曜日の日経に、「東証が上場廃止基準の見直し方針を発表」の記事。現行制度では少数特定持ち株比率が75%超になると1年間の猶予期間付きで上場廃止、90%超になると即上場廃止。これを「流通株式比率(上場株式数に対する流通株式数の割合)が5%未満となった場合」に上場廃止に変更する方針に変更とのこと。実質上の緩和ですね。
● ところが、最初この方針が「発表」されたと新聞に出ていたので、東証HPの「新着情報」や「サイトアップデート」を探したのですが見付からず、「もしかしたら?」で「パブリック・コメント」を探したら見付かりました(^^;。こんなの分からんでぇ、ホンマ(^^;。たまたま、かつて似たようなパターンがあったのを思い出したから良かったものの、実際、オフィス内でも「どこにそんな発表あったん?」と聞いている向きが何人も居ましたから…。で、金曜日に公表、そして意見募集が始まった案件の一つがコレです。「上場制度総合整備プログラム2007に基づく上場制度の整備等について」のなかに掲載されています。PDFファイルへの直リンクは、http://www.tse.or.jp/rules/comment/070622-jojo1.pdf です。
● 中身について書いていきましょう。今回の方針は色々な流動性基準の見直しの一環とのことで、これまでの「少数特定持株比率」という考え方が「流通株式比率」に変更。資料に定義が載っているのですが、微妙な差はあるのですが、一見すると見た目はほとんど変わっていません(^^;。で、実際のところ、何がどう変わったのか、東証の上場部に直接電話して聞いてみました(通じるまで何度も電話しなくてはいけなかったけど…)。
● 大きな差は、これまでは「大株主上位10位」が少数特定としてカウントされていたのが、今度の流通株式定義になると「上場株式数の10%以上を所有する株主」と変わる点。つまり、株主Aが40%保有、株主Bが30%保有、株主Cが5%保有、株主Dが2%保有…という具合だったら、現在の定義なら株主Dも10位以内なのでカウントされるのですが、新基準だと株主CもDも10%以上の保有でないのでカウントされない、ってことです。つまりこの点が株主持株比率が一部に集中している場合にとっての「緩和」です。
● 読んでても分かりにくいので、例を使って表にしてみましょう。下記の場合、大株主上位10位まででそれぞれの比率を計算してみると想定します。
株主 | 持株比率 | 少数特定持株比率 (現方式・累計) | 流通株式比率 (新方式・累計) |
A (#1) | 40.0% | 40.0% | 40.0% |
B (#2) | 30.0% | 70.0% | 70.0% |
C (#3) | 5.0% | 75.0% | 70.0% |
D (#4) | 2.0% | 77.0% | 70.0% |
E (#5) | 1.0% | 78.0% | 70.0% |
F (#6) | 0.5% | 78.5% | 70.0% |
G (#7) | 0.4% | 78.9% | 70.0% |
H (#8) | 0.3% | 79.2% | 70.0% |
I (#9) | 0.2% | 79.4% | 70.0% |
J (#10) | 0.1% | 79.5% | 70.0% |
最終的な比率 | 79.5% | 70.0% |
● 違いがお分かりいただけますでしょうか?新方式では持株比率が10%以上の場合だけカウントされるので、第3位までカウントしたところで計算は終わりです(実際には取締役の分などが加わる)。ここが現方式との大きな違いになります。75%/90%基準から5%基準(同じ言い方をすれば95%基準)になった点も「緩和」なので、ダブルで緩和という具合です。ちょっと気をつけておく点は、この新基準では猶予期間が設定されていないので、もし流通株式比率などの基準に引っ掛かって上場廃止ってことになると、猶予期間なしであっさりと上場廃止実施(整理ポスト入りするので、時間はあるはず)になるはずです。
● 市場関係者としては、真っ先に日興CG株のことが頭に浮かびます。東証に聞いてみたところ、もちろん否定していたし、この議論そのものはもっと以前から行われていたと話していました。でも、市場関係者としては日興CGの場合、少数特定持株比率がかなり75%に接近していることは想像できるし、何よりもこの株は日経平均採用銘柄なので、何かと気になるところでした。ところが、この新方針ならば、当面は上場維持の見込みが強いってことになります。もちろん、シティが完全子会社化などを言い出せば、前提条件はガラリと変わってきますけど…。
● なお、東証が方針を出したものの、まだパブリック・コメントを通過していないので、手続き上はホンチャンではありません。でも、この辺の事がパブリック・コメントでひっくり返ることは考え難いので、「方針発表=その通り実施見込み」ってこと。なお、資料には今年10月実施予定と書いてあります。為念。
● 最後に雑談気味に…。朝方、時事通信から 『日本からの資金流出、利上げ根拠に=円安は「明らかに異常」-BIS』 とのニュース。日本はボーナスシーズンに差し掛かるところで、設定される投信の多くが何らかの格好で「円売り/外貨買い」になっています。各国の中央銀行の政策金利をBloombergで調べると、米国5.25%、ユーロ圏4.0%、英国5.5%、オーストラリア6.25%、ニュージランド8%、カナダ4.25%、といったところ。日本はいまだにたったの0.5%。韓国が4.5%、台湾が3.125%、シンガポール2.25%なので、地理的に近い各国と比較してもダントツの低さです。
● 金利の低いところから高いところに資金が流れるのは、ある意味で経済学の基本。無理矢理抑えようとしても無理があります。つまるところ、円安や円キャリーを抑えるには、世界各国に利下げをお願いするか、日本が利上げするかして、金利差を縮小させるしかありません。前者は到底無理だろうから、結局は日本が何らかの格好で金利を上げざるを得ないのです。まぁ、当たり前ですわな(^^;。という訳で、住宅ローンなどを考慮中の方は、ちょっと計画を急ぎましょう(^^;。
2007年05月24日(木) .... 横ばい、中国株への警戒感もあって手控えムード
TOPIX : 1738.11 (-1.97, -0.11%) | 日経平均 : 17696.97 (-8.15, -0.02%) | 円ドル : 121.50 |
● 米国株式下落などを受けて、朝から軟調な展開。特に前場中盤までは中国株に対するグリーンスパン氏の「劇的な収縮を懸念している」発言を受けて警戒感が強く、相場全体は手控えムード。前場後半から始まった中国株(上海株式市場)は、小幅安だったものの急落などの非常事態には至らず、ホッと一息状態。ただ、これだけで上値を買う材料にならないのは当然で、下値はそれなりに底堅い状態だったものの、上値もかなり重たい展開でした。日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 個別には、昨日賑わった銀行株がマチマチの動き。消費者金融は相変わらずの日替わりメニュー状態(^^;。損保は意外に売られた印象があった一方で、自動車株が堅調に推移し、原発関連の一角も堅調。全体としては、何となくまとまりに乏しい1日でした。銀行株を含めて、相場の方向性が出てくるかどうか(レンジ上限を抜けてくるかどうか)は、明日が一つの勝負の節目と考えています。銀行株にしても、今日の動きはある意味で理解の範疇。皆がある程度、乗れる/賛同できる動きに発展するかどうか、注目しておきたいです。駄目だったら、また鉄鋼・非鉄系に戻ることになるんでしょうしネ…(^^;。
● そうそう、あちこちで話題になっていたOHT(6726)がやっとザラ場で取引成立。「変」になる前の5月15日終値が104万円(当日すでにおかしかった面もあったので、その前日なら120万円)。で、本日の寄付が212,000円(終値は209,000円)。何があったのかは追々、明らかになってくると思いますが、こういう「事件」は転機を象徴しているのかも知れません。ビジネス的には全く関係ない銘柄ですけど、一応、片目で眺めておくというか…(^^;。J_Coffeeさんがサイト運営を継続していたら(現在更新停止中)、間違いなく「兜町事件簿」ネタだったでしょうね…(^^;。J_Coffeeさんのサイトは、更新はされていませんが、まだアクセスは出来ます。参考になる読み物もテンコ盛りです。URLは、 http://j_coffee.at.infoseek.co.jp/ です。
● 記録。東証1部出来高は前日比2億8751万株も減って18億9545万株、売買代金は同4844億円減の2兆8270億円でした。東証1部値上がりは573銘柄、値下がりは1024銘柄で、指数よりは下落銘柄数が多かった印象。今朝のSQを計算すると、前日比12.60円安の17692.52円。また、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、4営業日ぶりの売り越し(3390万株売り/2920万株買い)。全体にフローも減少していました。
● さて、ここ数日ははソコソコの商いも出来たのですが、これで日本株に皆が戻ってくるかは何とも言えないところ。昼に弊社ヘッジファンド・セールスと立ち話をしたのですが、このマーケットでも彼はかなり忙しいそうで、「Everyone is making money in Asia, except for Japan」とのこと。さらに、「Everyone seems to forget that Japan even exists」ですって(^^;。きっついこと言うなぁ~とは思ったものの、私が変な顔をしたからなのか、「Seriously, it does feel like it」と。最前線で戦っている人間が言うことですから、多少の誇張を含んでいたとしても、そんな雰囲気なんでしょう。
● はっきり言ってしまえば、中国株が下がろうが、日本の景気や企業業績に「直接」の影響はそれほど大きくないはず。少なくとも短期的には大きくないハズです。それでも中国株の動向を気にするのは、上記したようにヘッジファンドの多くがかなりのエクスポージャーを持っていること。つまり、中国株が急落するようなことがあれば、リスク許容度が一気に低下する可能性が大きく、"おまけ"で持っていた日本株も一緒に売られてしまう可能性は大。何だかんだ言っても、アジアで一番大きなマーケットは日本だし、日本株はゼロには出来ないのです(おまけだとしても)。さらに、円キャリーで借金してレバレッジを掛けているのが解消に向かうとなると、かなり急激な円高シナリオも有り得るので、そこから「円高→日本株売り」と連想が広がってしまうリスクがあります。メディアなどでは、「中国景気過熱感」とか、「中国の景気が冷えると日本企業が…」という感じで、ちょっと違った言い方になるでしょうけどネ…(^^;。ファンダメンタルよりも、需給のつながりの方が、短期的には遥かに直接的だし強烈になる可能性が高いのです。
● 一方、日本株市場に眼を向けてみると、現状では、大損はしないにしても大儲け出来るような雰囲気は、残念ながらあまり出てきません。中国株のチャートなんか見ると、バブルと言われながらも(そしてグリーンスパン氏の言う通り、実際バブルだろうけど)、あのおっかなびっくり感というか、ドキドキ感が参加者を集めているのは分かります(^^;。国内でもREITなんて、かなり前から「チキンレース」と化していると思いながら、「バブルは最後の最後が美味しいねん!」という"ささやき"も聞こえてきます(^^;。現時点で通常の日本株にドキドキ感を求めるのは「違う」かもしれませんが、ならば他の魅力を提供できるようにならないと…。
● さぁ、今週もあと1日。頑張って行きましょう!
2007年03月28日(水) .... 続落、前場堅調も後場下落に転じる
TOPIX : 1711.06 (-12.80, -0.74%) | 日経平均 : 17254.73 (-110.32, -0.64%) | 円ドル : 117.35 |
● 前場には小高く推移する局面があったものの、前引けに掛けて為替がやや円高方向に振れ、昼休みに中国株市場が下落するのを見ると、全体の空気もどよぉ~~ん。中国株が下がったから経済的にどうのこうのというよりも、円キャリー解消に伴うリスクマネー収縮などの連想から来る心理的な圧迫感の方が影響が強かった印象です。中国株が日本時間の午後3時前にプラス転換すると、こちらもスルスルと戻し。日経平均で一時前日比223.40円安(-1.29%)まであった割には、それなりの戻しで大引け。ただ、どうも買い材料が乏しいところにこの手の連想が広がると、まず先物が反応してしまい、意外に効き目があったりします。今日はそんな1日でした。
● 日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 個別には、原子力発電関連(三菱重工、日立、日本製鋼所、オルガノなどなど)が一本立ち状態。システム的な運用をやっていると、こういう一本立ち状態は困るんですよねぇ~(^^;。某ベテラン市場筋氏によると、「"木ヘン"+"亥年"="核"というテーマ」だそうです(^^;。原油関連が堅調だったのはともかく、原発関連よりも困ったのが消費者金融・信販が一段高だったことでしょうか。まともに考えると「持っていない」セクターで、相場は「持っていないところ、持っていないところ」と来るいつもの嫌がらせパターン(^^;。一方、銀行は相変わらずの駄目駄目状態。先日、ドカンと下がったところでアナリスト諸氏からのメモがいくつかありましたが、1年前頃から「買い推奨」のアナリスト諸氏が、この株価低迷を目の当たりにしてどう動くのか、興味津々で見つめています(^^;。
● 記録。東証1部出来高は前日比3億6519万株増の22億4338万株、売買代金は同3975億円増の2兆8601億円。東証1部値上がりは604銘柄、値下がりは967銘柄。また、今朝のSQ値を計算すると、前日比41.33円安の17323.72円でした。日中足を見ると分かるのですが、寄付きでスッと下がった後はかなり堅調だったので、寄付きにバスケット売りがあったのかもしれません。なお、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、4日ぶりの買い越し(2560万株売り/3150万株買い)でした。
● 話題変更で指数ヲタク系話題に行きましょう。大引け後に、オリエントコーポ(8585)から、「市場第一部銘柄から二部銘柄への指定替えの可能性に関するお知らせ」 とのリリースが出ています。要するに、同社は3月末に債務超過になる見込みなので、指定替え基準に引っ掛かる可能性があるとのお知らせ。債務超過そのものは救済増資によって5月2日に解消するものの、3月末は債務超過状態で降格基準に引っ掛かり降格されるリスクがありますよ、ということです。
● これを書いている時点では、東証の 「監理・整理ポスト割当て銘柄一覧」 には、まだ何も掲載されていませんが、一応、頭に入れておいて下さい。オリコは現時点では東証1部銘柄なのでもちろんTOPIX銘柄です。日経平均銘柄ではないのですが、何度か日経平均採用銘柄候補にもなっていた記憶があるので、何となく時の流れを感じてしまいます。なお、オリコは日経300(久しぶりに聞くでしょ!)やMid400銘柄です。
● 関連して一つ。以前も書いたことがあったと思いますが、このコメントでは東証2部→1部を「昇格」と書いているのですが、これは正式な言い方ではありません。ホンチャンの定義は、東証HPの「よくある質問」に 「Q6. 「一部指定」と「指定替え」の違いについて教えてください」 で答えが掲載されていて、言葉使いとしては「昇格」は「一部指定」が正解。「指定替え」は1部→2部の降格のことです。パッと見の印象だと、昇格も「指定替え」と言っちゃいそうですけど、正式には違うのです(^^;。ただ、語感として分かり難いこともあって、ここでは、圧倒的にイメージし易い「昇格」という言葉を使っています。しかし、「降格」という言葉は、本当に久しぶりに見たような気がします(まだオリコは"降格"したのではありません、為念)。
● また、夕方、MUFGと三菱UFJ証券の交換比率が発表されました。どちらのHPにもリリースが掲載されているのですが、三菱UFJ証券のHPで 「三菱UFJフィナンシャル・グループによる三菱UFJ証券の完全子会社化に関する株式交換契約の締結について」 からアクセスできます。一番重要な交換比率は、「三菱UFJ証券1株に対してMUFGを1.02株」。ただし、MUFGは9月30日で株式分割の予定があるので、分割前(現在)の株価その他での比率は、「三菱UFJ証券1株に対してMUFGを0.00102株」となります。どちらが割高/割安なのかは…電卓があれば大丈夫ですよね!あっという間に埋まってしまう程度のサヤです(^^;。
● 春めいた空気になってきて、眠たくなる日中でした。相場もあまり面白くなかったし…(^^;。
2007年03月14日(水) .... 既視感のある大幅安、円高&米国株安で売り一色の展開
TOPIX : 1674.94 (-50.49, -2.93%) | 日経平均 : 16676.89 (-501.95, -2.92%) | 円ドル : 116.10 |
● 昨晩の米国市場やCME日経平均先物(大証比340円安)、さらに円高に振れていたことを受けて、多くの参加者は、それなりに安くなるのは予想していたでしょう。ただ、安寄りした後もズルズルと下落の一途。ザラ場中にもあまり大した反発局面が見られず、かなり大きくVWAPターゲットか何かで先物を売っていた向きがあった様子で、目先筋の買戻しが入るとボコンとまとまって売られる状況を繰り返していました。そしてはたと気が付くと日経平均は前日比500円超の下落。個別にちょこちょこと高い銘柄はあったものの、東証1部値上がりが43銘柄、値下がりが1674銘柄だと、「全面安」以外に表現のしようが無い状況でした。
● 今朝のSQ値を計算すると、前日比381.31円安の16797.53円(日興CGが寄付いていなかったものの気配値としてはストップ高で含まれています)。ほぼシカゴ日経平均先物から想像できる水準だったことが分かります。そこからズルズルと売られて、日経平均のザラ場安値は前日比549.99円安の16628.85円。この値段を付けたのが14時34分だったので、最後の30分間ほどに目先筋の買戻しで戻った以外は、ずっと右肩下がりだったことが分かります。今日も日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 一部では「アジア市場の下落が…」とも"解説"されていたのですが、下がり始めたのは順番に「米国→日本→アジア」。アジア株の下落は、米国と日本が引き起こしたようなもので、「アジア→日本」ではないハズ。ただ、午後にまともに押し目買いを入れる気にならなかったのは、アジア株の下落が影響していた可能性は大いにあります。まぁ、今日の下落をアジア株式のせいにする酔狂なのは居ないと思いますが、誰もが表現の自由は許されています…(^^;。
● 一方、為替については、再び円キャリー解消懸念が強まる状況。株式市場は「円高=売り」の方程式を見て動いている印象を受けます。これには、円キャリー解消という需給面の要因だけでなく、企業業績に与える悪影響というファンダメンタルズ面の要因も抱えているだけに厄介です。ただ、興味深いのは為替トレーダーと話をすると、「株式市場を見て売り買いしている」と言うのです(^^;。お互いに顔色を見ながら取引しているこんな状態だと、すぐにスパイラルになってしまいます。ぶっちゃけ、目先的には、本当に円キャリー解消が実施されているかどうかはどちらでも良くて、今の株式市場に染み付いている「円高=売り」の方程式がある限りは、為替動向を見て売り買いする状況なんです。どこかで方程式が崩れる時が来るでしょうけど、それまでは、関西弁で言う「しゃあない!」です(^^;。
● 個別には、安いのはともかくとして不思議に高かったのが消費者金融。三菱重工や日興CGは上がって不思議ではなかったものの、あれだけ米国でサブプライムローンの話になると、消費者金融なんて上がらないだろうと思うところで、この全面安のなかでしぶとく上昇。ホンマ、このセクターは良く分かりません(^^;。日興CGについては、大引け後の発表については後述しますが、ザラ場としては、今日はストップ高で抑えられるのが事前に99.9%分かっていたので、書くほどの面白みもありませんでした(^^;。
● 記録。東証1部出来高は前日比3億5853万株増の23億9906万株、売買代金は4397億円増の3兆1987億円と再び3兆円台を回復。また、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、大幅売り越し(3910万株売り/2170万株買い)でした。
● そして、大引け後、今日も帰り支度をしている時間帯でした。シティから日興CG株のTOBの正式発表。これで「強いコミットメント」から法的に正式なTOBへと移行することになります。シティからの正式な発表文章は、日興CGのHPにも掲載されています。「株式会社日興コーディアルグループ株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」 との文章です。これも重要なリリースなので、全部で16ページあるのですが、目を通しておいた方がよろしいかと。さらに、日興CGから今回のTOBに賛成する旨の、「当社株式等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」 とのリリースも出ています。
● ただでさえ、この手の法的文章は読み辛い(^^;ので、もう少し分かりやすくならんかといつも感じます。それはともかくとして、重要なのは、価格は1700円、買い付け期間は4月26日(木曜日)まで、買付予定株数が455,486,648株で、これを上回っても全部買い付けされる一方、下回ればTOB不成立となり買付はマルになること、あたりでしょうか。要するに過半数を目指すってことです。読んでいて色々と細かい点はあるのですが、明日の新聞にきれいにまとめてくれると思うので、そちらにお任せしましょう(^^;。
● 若干の野次馬根性も含めて、明日以降、日興CGが1700円を越えてくるのかどうかに注目です。瞬間風速だけだったらあまり意味はないので、「継続的に」そうなるかって点に注目です。
2007年03月08日(木) .... 朝安も後場急上昇、円安好感でほぼ全面高
TOPIX : 1720.96 (+31.36, +1.86%) | 日経平均 : 17090.31 (+325.69, +1.94%) | 円ドル : 116.70 |
● 朝方は「今一つやなぁ~」の雰囲気が蔓延していたものの、昼休みに円ドルが116円台を超えて円安方向に向かったことで、一気に雰囲気が変化。後場後半には円が全面安状態となり、株式市場はドンドン上値追いの展開。日経平均はあっさりと17000円を超えて上昇し、アレヨアレヨの大幅高。TOPIXも日経平均も高値引け。市場心理にかなりウェイトが掛かっている相場環境なだけに、まだしばらくは、為替が円高に振れると売られ、逆に円安に振れると「買いだぁ!」って感じの展開が続くのかも知れません(^^;。
● 今日も日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。なぜかYahoo! Financeに円ドルの日中足で大きなのがないので、想像力で補ってください(^^;。
● 個別には、鉄鋼、非鉄に加えて石油関連と、コモディティー系銘柄の強さが目立った印象。商社も同じ主旨で高かったです。テクノロジーもそれなりに強かったものの、東芝やソニーのように、アナリスト関連のネタで飛ぶ銘柄はあったものの、今一つ、乗り切れない面が否定できず。一方、ここ最近、お休みだった電力・ガスの強さも目に付きました。電力で目立ったのは、電源開発(9513)の急上昇。5%ルール開示で「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド」の持ち株比率が上昇した件が材料だったのですが、比率としてそんなに大きく変わっていなかったのはご愛嬌(^^;。この辺のデータならは、昨日もご紹介した「考える株式投資」をどうぞ。J-Powerなら直接 こちらから も行けます。この手の情報は、最終的には、第一次情報で確認する必要はあるのですが、手軽にパッと見る時には、EDINETを苦労して検索してPDFファイルを一個一個開けて…なんてやってられませんもんネ(^^;。
● 今日の相場急上昇の背景は、また為替動向だったのですが、先日から話題になっている円キャリーの規模や実態については、本当に把握している向きがいるのかどうかは分かりません。今回の株安局面で、本当に円キャリー解消が大規模にあったのか、それとも柳の影に驚いただけだったのかも、ある程度の時間が経過しないと分からないと考えています。もっとも、今日の円安や株高を見て、「円キャリー解消は大した規模ではなかった」と主張する向きが増加することは、想像できますけどネ(^^;。
● その一方で、今回の株安局面での被害者もチラホラとニュース記事になり始めています。Bloombergでは、「マンやウィントン・キャピタルなどヘッジファンド、先週の株安で打撃」 と流れていたし、同様の記事は、WSJでも「世界同時株安でマネージドフューチャーズファンドに損失」 と出ています。両方とも記事は同じような内容ですが、何となく混乱の一端が見えてくる感じがします。ただし、メディアに記事が出てくる頃には、すでに「現在進行形」ではなくて「過去形」のことが多いのは、この件に限ったことではありません。この点は認識しておきたいです。
● さて、明日はビッグSQ。先物関係者にとっては、3ヶ月に一度の"お祭り"ですから(^^;、恐れるのではなく楽しむ気持ちを持っておきたいところ。今日の上昇相場で色々な懸念材料を過剰に意識するのは薄らいだとしても、本質的なところがどうなのか(解消したのかしていないのか)を、冷静に見る心は持っておきたいです。手口から見る限りでは、某外資系証券は、結局、あの大量の玉をロールしなかった「ように」見えます。ただ、SGXやシカゴで実施した可能性も十分に考えられることで、何が起こっているかの全体像を把握するのは無理。よって、明日のSQはどうなるかも予想できないし、しません(^^;。いずれにしろ、ミスプライス狙いのカウンターが大量に入ってくるでしょうから、結果的には、それほど大きなミスプライスは発生しないことが多いのです。
● 日興CGについても少し書いておきましょう。東証は最近の報道にかなりお怒りのようで、「日興コーディアルグループ株式の上場廃止に関する報道について」 とのリリースを昨日出しています。珍しく強い口調です(^^;。もっとも、シティのおかげで、明日のSQで処理しなくても何とかなりそうな雰囲気が漂っているのは事実で、混乱回避の観点からは、シティさまさまの状態。一方、日興CGが上場廃止になるならば、日経平均やTOPIXだけでなく、MSCIだのラッセル野村だの、色々な指数から外れることになります。ただ、まだそれが起こっていないので指数運用筋は"待たされている状態"。「やるんやったら、はよやれよぉ!」との恨み節も聞こえてきそうです(^^;。
● 業務連絡。本日大引後、東証からソネット・エムスリー(2413)の東証1部昇格が発表されました。東証HP内、http://www.tse.or.jp/listing/1section/1sec.html でご確認を。マザーズからの昇格で3月15日付け、4月末のTOPIX算入です。ところで素朴な疑問。大引後の発表なのに、何で今日ザラ場で急騰しているの?同株は前日比+7.2%(前日比27,000円高の402,000円)だったのですが、いくら相場全体がこれだったとしてもねぇ(-_-;)。手口が公表されていたら、どの証券が買い越していたかなどが一発で分かるのに…。こういう"不思議"な値動きを防ぐためにも、手口情報の再公表を検討すべきだと思います。
● 記録。東証1部出来高は前日比4億6431万株も減って25億7400万株、売買代金は同5735億円減の3兆2217億円。活況は活況だったのですが、相場の動きの割りに意外に減ったな、との印象。今朝のSQは前日比51.87円安の16712.75円だったので、切り返しの強さも分かります。東証1部値上がりは1519銘柄、値下がりは165銘柄でほぼ全面高。また、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、これで7日連続の売り越し(2810万株売り/2620万株買い)でした。ただ、フローはかなり減っている印象が強くなってきました。
2007年03月06日(火) .... 6日ぶりに反発、引っ張ったのは鉄/非鉄/海運など
TOPIX : 1692.54 (+29.83, +1.79%) | 日経平均 : 16844.50 (+202.25, +1.22%) | 円ドル : 116.50 |
● 朝方はかなり神経質なムードで、「そろそろ自律反発」との気持ちの半面、「まだヤバイではないか」も否定できず、おっかなビックリ状態。上昇がはっきりしてきたのは、前場後半に円安/ドル高の方向に振れてからでした。さらに、昨日リバランスを見送った機関投資家が入ってきたのか、今日の昼休み東証立会外バスケット取引は1000億円超と活況。後場も引き続きジリ高となり、今日の高値圏で引け。物色動向は元に戻って(^^;、鉄鋼、非鉄、海運、重工が中心。メガバンクはやっぱり駄目で、FM諸氏からも「ホンマ、銀行株は駄目やね」の声が漏れていました(^^;。
● 何はともあれ、今日の日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● この5日間の下落幅を考えると、今日の反発は物足りないだろうし、これで底を打ったと確信している市場参加者は、実際のところ、あまり多くないでしょう。ちょっと意地悪な書き方をすると、一般的に、相場は自律反発の後にもう一度肝試しをします。それを乗り越えさえすればなんですが、そこまではもう少し時間が必要だと考えておいた方が良さそうです。ただ、機関投資家を中心に「買いたい弱気」だった向きも多く、変な書き方ですが、今回の下落でホッとしている向きも少なくない感触もあります。この辺の綱引きが興味深いところです。
● 為替に関しては、今日はある程度の安心感を与える値動きになったことが、少なくとも心理的には効いた格好。バンクの為替連中と昼休みに立ち話したところでは、「115.00円にはオプションのバリアーがあって、かなり底堅さが出てきた」とのこと。ただ、同氏によると、「でも、ここ割れたら知らんでぇ~」と(^^;。その下には当然のようにストップロスが控えているでしょうし、そこを突き抜けたら加速するのは予想できます。ただ、それが起こらないならば、徐々にであっても115.00円辺りが底堅くなり落ち着いてくるんでしょう。
● この115円というのは、企業業績などのファンダメンタルズ的にも重要なポイント。改めて書くほどのことは無いのでしょうけど、多くの日本企業は1ドル=115円前提で決算予想を出しています(12月短観では114円)。多くの輸出型企業では、これよりも円安ならば利益上乗せとなる一方、逆に円高に振れると利益目減りリスクがあります。もっとも、3月決算銘柄の今期業績については、今現在、多少円高に振れたとしても、加重平均の観点からは大した影響がないと思います。ただ、来期の業績予想を出す際に、足元の為替水準は当然参考にされるわけで、1ドル=115円前提だと○%増益予想が出せても、1ドル=110円前提だと下手すりゃあ減益予想になる可能性があります。当然、これはどよぉぉ~~んです(^^;。1ドル=115円は、色々な意味で注目が集まる水準であり続けそうです。
● 話題変更。ロールオーバーについて少し書いておきましょう。今日は相場が多少落ち着きを取り戻したこともあって、ロールオーバーも本格化してきた印象。水準としては、取引所取引でTOPIX先物が-7.5/-7.0ポイント、日経平均先物が-50/-40円。ミニ日経先物は-45円オファーがあり、業者間取引もこれを反映した水準で推移していたようです。Bloombergでデフォルト状態で計算すると、TOPIX先物のフェア限月間スプレッドは-7.55ポイント、日経平均のフェアは-64.09円。日経平均がいつも通りのプレミアムで、TOPIX先物はほぼフェアバリュー近辺で推移。普段との違いはTOPIX先物が普段よりもやや堅調という程度。日興CGの上場廃止問題が微妙な時期にぶつかりそうですが、現時点で限月間スプレッドを見る限りでは、特に影響が感じられない状態でした。
● そして大引後、午後6時から日興CGとシティグループは合同記者会見を実施し、「包括的戦略提携に合意」を発表。ニュースリリースは、http://www.nikko.jp/GRP/news/2007/pdf/070306_1.pdf です。これは目を通しておいた方がよろしいかと。
● このリリースの中で、「一株あたり1,350円の買付価格」と明記。もしかしたら、プライスが出ないかもしれないと考えていたのですが、ずばりと出して来ました。さらに、「全ての株式等についての公開買付け」と「本公開買付は、東京証券取引所による日興コーディアルグループ株式の上場維持又は廃止の決定にかかわらず実施されます」と明記している点にも注目です。また、ちゃんと「不発弾」が見付かったときのための条項もあります(この辺はしっかりしているというか…(^^;)。リリースの最初の方は、個人向け業務とか法人向け業務とかがあるのですが、その辺は適当にスルーして、最後の方に重要ポイントが列挙されています。
● まず、日興コーディアルの今日の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 今日の日興CGは、朝方少し売買停止になっていた後、買い気配でスタートして、寄付が1299円、高値が1379円、安値が1278円、終値が1340円(前日比161円高、+13.66%)と爆騰状態。VWAPを計算すると1334.2205円でした。しかし、それにしても、このTOB価格は微妙(^^;。朝方からアグレッシブに買った向きがいたのは分かるのですが、日中足を見る限りでは、「偶然」でしょうけど、何となくこの値段(1350円)から上が買われていないというか…。値段は付いたものの、長持ちしなかった(買いが続かなかった)様子は、日中足からも見て取れます。もちろん全くの「偶然」でしょうけどね。
● また、これを書いている時点では、東証からも日経からも何のリリースも出てきていません。もちろん、東証の判断はシティがTOBするかどうかとは直接的に関係ないので(間接的には影響しているとは思うけど)、連動するのもおかしな話になってしまいます。とは言うものの、すでにあちこちで報道されているように、今週中には、日興CGの上場関係のリリースが出てくると考えています。
● うがった見方をするならば、シティがTOBをやると表明したことで、日興CG株が株価的に下支えされるのは当然明白。日興CGが予想されている通り上場廃止になり、日経平均採用銘柄でなくなり、インデックスファンドや投信から大量の売りが出たとしても、シティが買ってくれるんですから、誰も文句はないでしょう。当然、混乱も防げることになります。シティがこの案件のリスクを丸抱えするワケで、これは「貸し一つ」って感じに受け取れます。誰に対する「貸し」かは、ここには書かないですけど、もうお分かりですよね。うまいと言えばうまいし、タダでは転ばないしたたかさを感じます。この件のリスクとして考えられるのは、既に5%ルールで色々と名義が出てきている海外のファンド筋の動きです。あまり不満はないTOB価格だとは思いますけど…。
● 個人的に事後的な印象を書くと、「みずほFGや三菱UFJ FGなどに、これだけの"腹"があればなぁ~」ってこと。外資系企業に勤務していて書くのは妙かもしれませんが、今回の件で、日本人としては、ちょっと複雑な心境になってしまいました。
● ちょっと書き過ぎ(^^;ですけど、もう一度話題変更。ここ数日、気付いていながら書いていなかったのが、日足チャート上で出現した「アイランドリバーサル」。この形が広く認識されるようになったのは、2006年9月初旬にきれいな形で出現して、その後、それなりの調整局面があってからでしょうか。今回は、昨年9月ほどはっきりとしていない格好ながら、TOPIXで1800ポイントから上、日経平均で18000円から上が、「島」として取り残される状態になっています。そしてこの急激な調整。実際のところ、「認識した時には遅かった」って感じですが(^^;、記録として書いておきましょう。個別銘柄でもこんな形のチャートがかなり多くなっています。なお、「アイランドリバーサル」の詳細説明は、ググッて一番上に出てくる三貴商事のHPなどをご参考に。URLを書いておくと、http://www.sankishoji.co.jp/info/lecture/04n.html です。
● 記録。東証1部出来高は前日比7196万株減の29億5413万株、売買代金は同1467億円減の3兆7962億円と、相変わらず活況が継続。東証1部値上がりは1455銘柄、値下がりは220銘柄で、言葉使いとしては「ほぼ全面高」ってところでしょうか(^^;。また、今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、5日連続の売り越し(3420万株売り/2670万株買い)で、若干、落ち着きの兆しが感じられる雰囲気でした。
● 疲れてきたけど、最後に指数ヲタク向けの業務連絡(^^;。今日、東証から「株価指数算出上の取扱いについて(東海パルプ等)」(http://www.tse.or.jp/news/200703/070306_b.html)なるリリースが出ています。福岡銀行(8326)以外、あまり大きなのはないのですが、「知らなかった」ではマズイ話かと…(^^;。また、浮動株変更なども発表されています(http://www.tse.or.jp/topix/float/rate/index.html)。こちらもご確認を。
● さぁ、明日は「SQ2日前の魔の水曜日」(^^;です。シートベルト着用サインは点いたままですんで、そのつもり頑張りましょう!ネタが無い日は全く書くことがないのに、この1週間ほどはネタだらけで、文章が長くなってしまいゴメンナサイです。短く分かりやすくが主旨なんですけど…(^^;。
2007年03月05日(月) .... 大幅安、円高進行で株安止まらず5日続落
TOPIX : 1662.71 (-58.88, -3.42%) | 日経平均 : 16642.25 (-575.68, -3.34%) | 円ドル : 115.65 |
● 土曜日朝にNYダウとシカゴ日経平均先物を見た瞬間に、今日も軟調なのは想像出来ていたのですが…。しかし、最後までエグイ下げでした。順を追っていきましょう。CME日経平均先物は大証比295円安。今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向も売り越し。でも、それ以上に響いたのが、朝方一段と進んだ円高。あっという間に1ドル=115円台に突入すると、株式市場としてはもうなす術がなかった状態。円高そのものが企業業績に与える影響はもちろんのこと、「円高=円キャリー解消=投資資金縮小」という方程式を意識する現状では、売りが売りを呼ぶ展開に陥るのを防ぐ妙策が無い状態。あちこちで単発的にプラスになる銘柄もあったのですが、大規模な雪崩のなかでは効果は限定的。アジア各国も安いところが多く、今日は東京発って感じが強い1日でした。
● 今日も日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。大引け間際の数分間を除いて、本当にザラ場で反発局面が無かったことが分かると思います。さらに、今朝のSQを計算すると、前日比307.61円安の16910.32円(9時10分確定)だったので、ザラ場でその後、フォロースルーの売りがかなり出ていたことも分かります。ちなみに、日経平均のザラ場安値は、前日比685.02円安の16532.91円でした。
● 今日の急落でテクニカル的なサポートも、ブチッ、ブチッ、とあっけなく切れていく状態。日経平均が「5日続落」となるのは、昨年7月11日~18日以来の約7カ月半ぶり。これだけの間、「5日続落」が無かったというのも珍しいのですが、それだけ今の相場が悪いってこと。ただ、慰めにもならないかもしれませんが、今日の終値水準は、まだ12月安値を割れていません。12月中旬の水準です。ということは、昨年12月頭から参加していた方にとっては、「利食いチャンスを逃した」はあったとしても、損失の嵐ということは無いハズ。
● 一方で、外国人投資家の観点から見れば、円高なので余計にグラフは異なってきます。ドル建日経平均だと、今日の下落分を含んでも、まだ2月安値にも届いていません。現時点では相場の不安定さから見送っていたとしても、落ち着きが見えれば余力が機能する可能性は十分にあるんです。ただ、正直言って、今回の下落でここまで、しかも自律反発なしに連続的に下がるとは考えていなかった方が多かったでしょうし、この傷は癒すのに時間が掛かるかもしれません。せっかくですので、米ドル建の日経平均日足チャートを付けておきます(出典:Trader's Web)。このなかの、「株式情報 > 株式指標一覧」と行けば最新のチャートにたどり着けます。下手な情報端末よりも使い出があります(^o^)。借用感謝。
● 今の市場心理というか不安心理は、円キャリートレードという、実態や規模の把握が困難な取引が焦点になっているだけに、先が読めない不透明感が不安心理を増幅してしまい、余計に下落を厳しいものにしてしまっているように感じます。心理状態が相場の大きな要因となっているだけに、それを反転させるきっかけが掴めないのが現状。笑ってしまうのは(笑っている場合ではないけど)、株式市場からは、円キャリー解消が落ち着くシグナルとして為替動向に注目し、「円高が止まらないと買うに買えない」となる一方、為替トレーダーと話をすると、「株式市場が下げ止まるまでは、円高方向が続く可能性が強い」と言うのです(^^;。つまり、お互いの顔色を見ながら、手探りで進まざるを得ない現状を良く表現しています。
● あちこちの"識者解説"では、「抜本的な景気の見方や企業収益などに変化はない」との主旨が目立つ気もするんですが、はっきり言って、今はファンダメンタルズはほとんど見ていません(^^;。市場心理が中心になって相場が動いており、動きそのものが材料。もちろん、いずれどこかでファンダメンタルズに視点を戻す時が来るのでしょうけど、それまでは「○○だから××になるはずだ」と論理で考えるのはちょっと危険。もっとも、逆説的になるのですが、市場心理で相場が動いているだけに、何かのきっかけで一変する可能性はあるし、その一方で、ズルズルと行く可能性もあると考えています。つまり、自律反発がやってくるにしても、不安定感の解消にはまだ時間が掛かると考えておいた方が良さそうです。
● 記録。東証1部出来高は前週末比2億8023万株増の30億2609万株、売買代金は同4138億円増の3兆9428億円と、相変わらず活況が続いています。東証1部値上がりはたったの27銘柄、値下がりは1695銘柄で、文句なしの「全面安」。また、新興市場はやっぱりこうなると弱いです。マザーズは指数で7.42%も下落。ヘラクレスも6.53%下落。マザーズ指数の終値1000ポイント割れは、2003年9月25日以来。ファクター面からは、バリューがそれなりに堅調だったほか、配当利回りの高い銘柄は総じて堅調(TOPIXほどは下がらなかった)。3月ってこともあり、やはり頼るところはこの辺ってことでしょうか(^^;。
● 今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、4日連続の売り越し(3180万株売り/1790万株買い)。先週金曜日もそうだったのですが、売りが増えているというよりも、買いがかなり減った印象。要は買い手控えなんでしょうけど、このところの活況相場を支えてきた外国人投資家の買いが落ち込んでくるなら、それはそれでまた心配です。
● 今日もロールの話などを書くスペースがありませんでした(^^;。簡単にさっくりとだけ書くと、相場が大きく動いていることに加えて、日興CGの上場廃止に関してあちこちでニュースが飛び交っているので、裁定業者も掴み所がないというか、動きにくい状況に陥っています。ロールを順調に進めるには、ある程度相場が落ち着かないとリスクばかりがでかくなるのでやり辛いのです。パッと見だと、方向感がある方がやり易く見えるかもしれませんが…。というわけで、今回は、相場がもう少し落ち着くのを待っているのは、実は裁定業者も同じだったりします(^^;。
● 最後に一つ。今回の下落局面と他の下落局面の比較を、夕凪氏がHPに書かれています。何となく今日の下落を予言されていたようなフシもあるのですが(^^;、それはともかくとして、このグラフを見る限りでは、下げ止まるかどうかはまだ何とも言えないですね(^^;。URLは、http://www.geocities.jp/yuunagi_dan/Day/current.htm です。各自でグラフを見てご判断を(^^;。
2007年03月02日(金) .... 続落、鉄鋼株堅調も輸出関連が軟調
TOPIX : 1721.59 (-18.52, -1.06%) | 日経平均 : 17217.93 (-235.58, -1.35%) | 円ドル : 117.60 |
● 寄付き前から売り先行の展開が予想されていたとは言え、前場中盤の下げは心理的に「どよぉ~~ん」とくる印象。その後は下がりそうで下がらない展開だったものの、今日も自律反発の「じ」の字が見えてこなかったことで、失望感が避けられない印象が残りました。やっぱり引け味も悪かったですしね。週末をまたぐことで、何らかの格好で変化があるかどうかです。後日の参考になるかどうか分かりませんが、日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 特に後場に入ってから相場を支えたのは鉄鋼株だったのですが、逆に足を引っ張ったのがソニーを中心とするテクノロジーと自動車などの輸出系銘柄。ソニーは特許侵害問題和解で巨額支払いとののニュースが寄付前に流れていたものの、前場よりも後場の下げ方の方が嫌な感じを受けました。何だかんだ言って、ソニーはそれなりに相場の中心銘柄ですから、全体に与えた心理的な影響は避けられません。なんせ、ソニーが東証1部の値下がり率トップだったのですから…。これはかなり珍しいことです。
● それやこれやで、結局、TOPIXも日経平均も1週間としては8ヶ月ぶりの大幅下落で今週を終了。個人的に注目していた2月28日のSQ値(17241.24円)も、ブッチ切りで割り込んでしまいました(-_-)。ただ、これを書くと怒られるかもしれませんが、相場の方向はともかくとして、今週はバリューやリバーサルの効きがそれなりにまぁまぁだったので、機関投資家的にはそれほど機嫌が悪い感じで無かったです。実際、下記するように多くのヘッジファンドが大きな損失を出したのが事実だとしても、クオンツ的にシステム運用していた向きは、それほど悲惨ではなかったはず。これは、多少なりとも来週に掛けて心理的な救いになるかも知れません。
● さて、今回の一連の株安について、中国株下落に責任を押し付けよう(^^;とする解説が目立つものの(NHKを始めとする大手メディアは特に…)、個人的には、それはきっかけだったとしても、本質的な理由は資本の流れの変調と受け止めています。今日は上海株式市場も堅調だったのに、東京はあまり反応しなかったですしネ…。スケープゴートを作ると"説明"はし易くなるのですが、どうもマーケットの近くで見ている向きからすると、違和感があるのが本音。
● 円キャリートレード(最近のメディアでは「円借り取引」と言うらしい(^^;)については、私は専門家ではないので分からないところだらけ(^^;ですけど、ヘッジファンドやCTA筋が、かなりの金額を円キャリーを活用してレバレッジを掛けて、世界中で投資行動(投機行動)に動いているのは理解しています。昨晩のロンドンで、渡辺財務官が円キャリー取引の規模を「数十兆円、恐らく10兆~20兆円ほど」と発言したそうですが、曲がりなりにも国家のトップレベルにある人が発言した推計レンジの広さを見るだけで、円キャリーの全体像を把握する困難さがうかがえます。
● 円キャリーの解消が始まっているかどうかの傍証として、円高傾向に向かっている事実があるのですが、これは原因なのか結果なのかが判然としない面もあります(^^;。「鶏と卵」で、円高なので円キャリー解消が発生しているのか、円キャリー解消が発生しているので円高なのか、ということ。まぁ、往々にして相場では単発の要因で何かが起こることはほとんどなく、複合要因で色々なことが発生するので、これも「相乗効果」とか「スパイラル」になっているのが本当のところだろうと考えています。
● そういったなか、個人的には今朝流れていたロイターのニュースにちょっと注目しちゃいました。それは「米調査会社ヘッジファンドリサーチ(HFR)が1日発表したHFRX指数によると、ヘッジファンドは2月27日、世界同時株安を受けて1日の損失としては少なくとも過去4年間で最大となる巨額の損失を出した」とのこと。Webでは こちら に掲載されています。
● 運用担当者が、大きな損失を被ったときに、まずやるべきことの一つは損失拡大を阻止すること。要するに「止血」です。具体的には、ポジションを縮小するのが選択肢の一つで、通常は措置の第一歩となります。もし、そのポジションを円キャリーでファイナンスしていた(レバレッジを掛けていた)とするならば、ポジション縮小は円キャリーの解消に直結することになります。ヘッジファンドの中には、あちこちの市場に出向いている向きは少なくないし、円キャリーという借金の金利以上に稼げると考えれば、どこにでも行きます。なので、余波はグローバルになることが多いのです。
● もっと極端に書いてしまえば、現時点の足元の相場では、大規模な円キャリーの解消が入っているのか、小規模に過ぎないのかも、確認のしようがありません(^^;。なので、市場は「円キャリーの解消 → 円高 → 投資資金縮小」の連想で突っ走るしかなく、相場もその瞬間においては、その方向に動いてしまうのです。この瞬間においては、ファンダメンタル要因はほとんど関係なく、相場の動きそのものが材料。それだけに、「スパイラル」発生のリスクを常に抱えていることになります。誤解されるとアレなので書いておくと、これは単に相場が下落するってことだけではなく、心理状態の変化に伴ってボラティリティーが上昇するってことです。
● もちろん、このドタバタ状況が落ち着いてくると、状況は変化してくるはずです。問題は「いつ」その変化が見られるか、です。1~2日で落ち着きが出てくると考えていた向きが多かったかもしれませんが、東京株式市場でこれだけ自律反発の兆しが見えてこないということは(しかも中国株が曲りなりに反発したにも関わらず)、単なる妄想ではなくて本当に資金の流れが変わっている可能性が考えられるし、そうだとすると、もう少し時間が掛かると考えておいた方が良いのかも知れません。いずれにしろ、結論を出すのは早計ですし、本当の意味で結論が分かるのは、多分、3ヵ月後でしょうネ(^^;。そこまで待つわけにも行かないので、現時点では心理状態のブレに付き合うしかないと考えています。
● 先物の手口(UBS、DB、カリヨンなど欧州系の売り目立つ)についてや、先物のロールオーバーについても書くつもりだったのですが、長くなり過ぎるので今日は止めておきます(^^;。今日の記録。東証1部出来高は前日比4億3438万株も減少して27億4586万株、売買代金は同4693億円減の3兆5291億円でした。まだまだ活況ですが、少し落ち着きのシグナルかもしれません。東証1部値上がりは408銘柄、値下がりは1223銘柄。今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、3日連続の売り越し(3620万株売り/2680万株買い)で、売り買い共に株数ベースでは若干フローが減った印象。
● 最後に指数ヲタク系の話。今朝の読売新聞に「シティ・日興、週末に出資交渉…完全子会社化も視野」との記事。このヘッドラインそのものは既報って感じですが、その中に「東京証券取引所は当初の予定を早め、早ければ来週にも日興CGの上場廃止の是非を決める」との記述。ピクリと来ちゃいます(^^;。記事の書き方は、「早ければ」だし、「来週にも」なので何とも言えないのですが、来週はビッグSQ週。東証も十分に分かっていると思うので、妙な波乱を引き起こすような措置はしないとは思うのですが、逆にSQ直後(例えば金曜日大引後)なんかに出て来ると、それはそれで厄介。どうせ処分する必要があるのだったら、ビッグSQの高流動性時の方が波乱が少ないかもしれないからです。来週も何かと忙しくなりそうです(^^;。
● 今日もえらく長いコメントになってしまいました。スミマセン。ようやく週末。今週はお疲れの方々が多いと思います(^^;。ゆっくりお休みください。良い週末を!
2007年03月01日(木) .... 続落、後場下げ渋るも自律反発期待は空振り
TOPIX : 1740.11 (-12.63, -0.72%) | 日経平均 : 17453.51 (-150.61, -0.86%) | 円ドル : 118.30 |
● 今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、2日連続での大幅売り越し(4650万株売り/2610万株買い)で、シカゴ日経平均先物も大証比45円安。寄付きから軟調にスタートし、前場中盤頃からジリ貧基調となり、後場初っ端に一段安。自律反発に期待する向きが多かったでしょうが(私も含めて)、自律反発の「じ」ではなく、ジリ貧の「じ」ばかりが目立つ展開。ただ、今日の相場で救いだったのは、午後1時過ぎから鉄鋼株の業績予想修正の発表があったこと。JFEはやや失望部分があったものの、新日鉄がプラス転換するなど、地合いの悪いなかでかなり頑張ったと思います。ただ、相場全体の地合いの悪さは否定し難く、他に好影響が波及せずに局地的な影響に留まったのは残念でした。
● 昨日は前日比では大幅安だったものの、日足は陽線になる状態だったので、悲壮感は限定的に感じたのですが、今日の後場初っ端などは、はるかに雰囲気悪化。その後の下げ渋りで大分解消したでしょうけど、楽観視できる状況ではありませんでした。今日も日経平均の日中足を付けておきます。それと、鉄鋼株の代表格として新日鉄の日中足も付けておきます。(両方とも出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 細かい話になるのですが、昨日のSQ値は17241.24円だったので、この水準をキープできるかどうかに注目していました。結果的にはギリギリで踏み止まった(今日の安値は17261.60 円)ものの、自律反発が見えてこないのは落ち込みます。昨日慌てて売った向きが「しまった!」って事になれば、さらに勇気を持って買った向きが儲かるようになってくると相場の雰囲気も変化するのですが、なかなか一筋縄では行きません。
● また、日本の相場時間帯では上海株式市場なども軟調だったものの下落率は2%未満程度で推移。最後は売られて3%近い下落だったみたいですが、新興市場はブレが大きいのが常なので、この程度だったら良く見かける風景のハズ。それでも心理的に圧迫感を与えた印象はありました。まぁ、あれだけ「チャイナ・ショック」なんて書かれると、気になるのは仕方ありません(^^;。
● ただ、中国株そのものよりも、やはり円キャリートレードのアンワインド、そして投資資金縮小への連想が働く影響がより大きいと考えています。弊社の為替トレーダーも今朝のコメントで、「一昨日のNYの安値117.50円より下値には、海外投機勢の円キャリートレード解消目的の大口のドル売りストップロスが入り始めており、相場は再度、底割れを起こし急落するリスクを残している」と書いています。上海株式市場よりも、為替を見ておいた方が良いのかも知れません。円高が加速するような展開になると、株式市場でも買いが入り難くなるのは簡単に予想できますから…。
● さて、一歩下がって、昨日、今日の2日間の相場を数字からちょっと見てみました。
昨日SQ値 | 昨日安値 | 昨日終値 | 本日安値 | 本日終値 | |
TOPIX | N/A | 1719.15 | 1752.74 | 1724.98 | 1740.11 |
日経平均 | 17241.24 | 17382.79 | 17604.12 | 17261.60 | 17453.51 |
TOPIX 100 | N/A | 1246.46 | 1270.35 | 1248.23 | 1258.51 |
● 個別銘柄と指数の値動きに違いがあるのは当然ですが、日経平均以外は今日は昨日安値を割り込んでいません。日経平均も昨日SQが事実上の安値と考えると、そこをまだ割り込んでいないのです。ちょっと意地悪に、TOPIX100銘柄をユニバースにしてで、今日の安値も終値も昨日安値を割り込んでしまった銘柄(情けない銘柄)を抽出すると、9銘柄ありました(^^;。キリンビール、花王、ローム、オリックス、損保ジャパン、T&D、住友不動産、JR西日本、ソフトバンク(銘柄コード順)です。
● 一方、本日の安値も終値も、昨日の安値・寄値ともに割り込んでいないのは、ちょうど半分の50銘柄ありました。もっとも、これで何が見えてくるのかは定かではありません(^^;。私もこれを作っていたときには、もう少し違う結果が出てくるのかと想像していました。その意味では、若干、期待とは違った結果だったところもあったのですが、地雷原を歩くには足元を確かめながら行くしかありません(^^;。運用を職業とする方々にとっては、「投資しない」という選択肢は、よほどの非常事態以外はあり得ないのです。今回は、非常事態なんかでは全くありません。平常時もいいところで、せいぜい震度2強か3弱程度でしょうか(^^;。なので、何かを売れば何かを買うことになる立場からすると、何かを売れば何かを買うプレッシャーは常にあるのです。この先数日間の相場において、「相場のうねり」みたいなのを感じる手助けになればと…。
● 記録。今日の東証1部出来高は前日比5億0615万株減の31億8024万株、売買代金は同8299億円減の3兆9983億円でした。前日比だけを見るとえらい減ったみたいな印象があるかもしれませんが、昨日があまりにも爆発的な商いだったからです(^^;。30億株超、売買代金ほぼ4兆円は凄い活況です。
● 雑談。今朝の日経金融「アングル」では、日興CGの上場問題に関して、大証が東証と違った判断をする可能性についての話題。最後に「全取引所一斉の上場廃止だけが唯一の選択肢ではない」と結んでいます。ヤフーの例などを考えると、取引所は東証だけではないとの動きが出始めているのも事実。また、投資家への売買機会の提供というのは、大義名分としてもかなり重たいものです。記事を書いたのは前田昌孝編集委員ですが、個人的にいつも同意するわけではないにしても、この方の文章は読み応えがあるのも事実です。
● ただ、指数ヲタク系視点で行くと、たとえ大証などが上場維持という判断に至ったとしても、東証が上場廃止の判断をした瞬間に、日経平均採用銘柄というステータスは失われてしまいます。日経平均プロフィルの選定基準(http://www.nikkei.co.jp/nkave/about/rule_2.html)によると、構成銘柄は「東証第1部上場銘柄のうち市場を代表する225銘柄を対象に算出します」と書いてあるので、東証1部上場でなくなったら、日経平均採用銘柄では無くなることになります。もちろん、日経が銘柄選定ルールを変更すれば全く別の話になります。一応、その可能性も頭の片隅に入れておきましょう(^^;。
2007年02月28日(水) .... 米国株安+円高で全面安、東証1部売買代金は過去最高
TOPIX : 1752.74 (-58.59, -3.23%) | 日経平均 : 17604.12 (-515.80, -2.85%) | 円ドル : 118.35 |
● 久しぶりに凄みのある相場でした。米国株が大幅急落でシカゴ日経平均先物はなんと大証比585円安。今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、大幅売り越し(6020万株売り/2690万株買い)。さらに円高が進行と来れば、円キャリーのアンワインドを連想。また、日経トップ記事は「日興、上場廃止へ」とくれば、もう覚悟を決めるしかありません。まぁ、よくこれだけ弱気材料が集中したというか…(^^;。後で読み返した時のために、現状把握として書いておきます。NYダウは 12,216.24 (-416.02, -3.29%)、S&P500は 1399.04 (-50.33, -3.47%)、NASDAQ総合指数は 2407.86 (-96.66, -3.86%)でした。
● 今朝は90%以上の方々がシカゴ日経平均を参考に600円安を想定したでしょう。ソコソコの銘柄が寄付いた時間帯では、もう少し厳しいところもあって、日経平均で瞬間風速737.13円安までありました。今朝のSQを計算すると、前日比878.68円安の17241.24円。日興CGが最後に寄付いた(10時39分)のですが、今日のザラ場安値よりもかなり下の「幻のSQ値」状態だったのは、ちょっと注目しておきたいところです。
● 30分ほどでほとんどの銘柄が寄付いて売りが一巡してからは、意外に底堅い展開。TOPIXのザラ場安値は9時20分、日経平均は9時21分だったのですが、その後は売り買い交錯で指数は横ばいでした。大引けではMSCI絡み(月末お化粧ではなくて…)だろうと推察するのですが、バスケット買いが入っていてピョコンと戻して引けています。今日はさすがに後日見るでしょうから、日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● また、寄付かない銘柄ばかりのなかで、TOPIX先物はサーキットブレーカー措置で9時07分から15分間の取引中断。さらに、東証は「TOPIXが1711.33未満になれば、裁定取引を制限する」と発表(前日比100ポイント安水準のルール)。幸いにして、その水準までは行かなかったものの、久しぶりにこの手の連絡を見ました。これも珍しいことなので、TOPIX先物(3月限)の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。当該時間帯の価格が横ばいで出来高が欠落しているのがご覧頂けるかと…。
● 今日はサプライズも色々とあったのですが、指数の変動幅以上に驚くのは相場の活況度合い。今日の東証1部出来高は、前日比で6億7181万株も増加して36億8639万株、売買代金は概算ベースでも前日比で1兆2669億円も増えて、なんと4兆8282億円(!)。これはSQ日も含めて過去最高だったとのこと。つまり、閑散だったので横ばいになったのではなく、押し目買いを入れていた向きがソコソコあった(市場筋観測で欧州筋からのバスケット買い)からこそ、この状態になったと解釈できます。そうそう、日経平均先物3月限の出来高も201,994枚(立会内取引)に達し、中心限月として過去最高だったそうです。
● 今回の急落について、中国株の下落に原因を求める声が多いと感じるのですが、影響を受けたのは事実でしょう。でも、それが急落の本質ってことではなく、あくまでも「きっかけ」だったと考えています。それよりも、資本の流れ、つまり円キャリートレードの巻き戻し(実際の巻き戻し+巻き戻しの連想)の影響が大きかったと考えています。日本株式市場への直接的なインパクトはもちろん、これによって発生する円高や新興市場下落などが間接的に与える影響は小さくありません。さらに、円キャリーによってファイナンスされている投資資金が縮小するとなると、日本株に限らず、相場下落の方向に働かざるを得なくなります。円キャリーは実態が分かり難い(全体を把握するのは無理?)だけに、「柳の影」と化す部分があるのはいつも通り。相場が嫌がる「不透明感」ってことです。円キャリーについて書き出すときりが無いので止めておきますが、円キャリーで「生まれた」資金のかなりの部分が、投資資金となって世界中を駆け巡っている、という事実だけでも、「円キャリーの縮小=投資資金の縮小」といった関係が想像できると思います。
● 話を戻して、今日の相場を見ていて感じるのは、本来ならば1週間ほど掛けてやる調整を1日でやっちゃた感触も強いです(^^;。一巡後に下値を売るようなフォロースルーがなかったことは評価できるのですが、まだこの先数日の動きを見ないと、実際のところは何とも言えません。つまり、これで終わりなのか、終わりの始まりなのかは、まだ良く見えて来ないのです。ただ、個人的には、少なくとも値幅的にはソコソコやった、と考えています。日柄は少し必要かもしれませんけど、それがどの程度のモノになるかも、ドタ勘程度の根拠しかありません(^^;。もっとも、今日の瞬間風速安値の水準でも、実は1月末~2月初旬の水準まで下落しただけで、そんなに大騒ぎするほどの事ではないのかもしれませんけどね(^^;。
● ちょっと余談っぽくなるのですが、昨日のNYダウの日中足をご覧頂くと、午後の途中で普通では考えられないような値動きがあったことに気付きます(下グラフ参照、出典:Yahoo! Finance)。ニュースなどによると、これはダウ・ジョーンズ社の"システム障害"による指数算出遅れが原因とのこと。この件について日本語ニュースでは、http://markets.nikkei.co.jp/kaigai/dj.cfm?id=bmb0637&date=20070228 などに書かれていますが、一般的なニュース解説ではこの件はあまり出て来ないようです(^^;。この記事でも、この"システム障害"は米国株式急落の主たる要因ではなかったとの書き方をしていますが(ダウ・ジョーンズの記事だし)、システム的な運用(例えば裁定取引)を経験したことがある向きからすると、指数算出がおかしくなるというのは、実際の損益を伴うかなり大きな出来事だったのは簡単に想像できます。さらに、こういう"システム障害"は往々にして相場下落を加速するもの。主犯ではないでしょうけど、下げをより大きなものにしてしまった共犯だったのは否定できないと考えています。まぁ、余談ですけどネ…。
● 話題変更。今日は相場の動きが大き過ぎて、日興コーディアルの話が飛んじゃいそうです(^^;。でも、書いておいた方が良いと思うので、長くなるけど行きます。今朝の日経朝刊トップ記事は、「日興、上場廃止へ・東証が最終調整」(http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hot.cfm?id=d2c2704r27&date=20070227)。まだ東証から正式な発表があったのではないにしても、市場としては当然のように"事実"として受け止める状態に。日興CGは朝から大量の売りを浴びてストップ安売り気配。前場後半の午前10時39分にストップ安で寄付いた(やや意外感あり)ものの、その後、また売られて最後はストップ安で比例配分でした。
● 指数ヲタク系の話題としては、日興CGとシティがくっつこうとみずほFGがくっつこうと構わないのですが、日興CGの日経平均銘柄としてのステータスがどうなるかが気になるところ。日経は日興CGが監理ポスト割当になった際、日興CGを日経平均銘柄のままにすると決定しています。しかし、上場廃止が決まって整理ポスト入りになると、日経平均から外すしかなくなり臨時銘柄入替が発生します。すでに各社から銘柄入替候補予想レポートが出てきています。ここで具体的な銘柄名を書くと、何かと妙にエキサイトする方々が出てきそうなので敢えて書きませんが、ちょっと作業すると出てくる2~3銘柄が、有力候補として出てきています。ここでは、日程的な点を押さえておきましょう。
● 日経平均プロフィールHP(http://www.nikkei.co.jp/nkave/index.html)によると、「突発する事由による臨時入れ換えの場合、破たん銘柄の整理ポスト入り後、2日間程度の周知期間を置いた上で補充します」と明記。また、「倒産等の除外事由が突発した場合は、その入れ替えの周知徹底のため、入れ替え実施まで期間を置くことがあります。特に当該除外に対する銘柄補充については原則として期間を置くものとします」と書いてあります。ひとまず前者の「2日間程度」を参考にするとしても、結局は、東証がいつ日興CGの上場廃止を発表するかによって左右されることになります。訂正有価証券報告書が提出されてから2週間と考えるとならば3月13日とか3月14日。もっと早く東証が発表する可能性もあるのですが、東証発表から2日間程度の周知期間を置くイメージと想像しておくことにしましょう(^^;。なお、東証からは今朝の日経記事に対する「見解」(http://www.tse.or.jp/news/200702/070228_c.html)なるリリースも出ています。
● 今日は大変長くなってしまいました(^^;。恐縮です。最後に残りの記録。東証1部の値上がり銘柄数はたったの33銘柄、値下がりは1676銘柄でした。東証1部上場銘柄数が1719銘柄なので、「全面安」以外の言葉はあり得ません(^^;。実はこれでも値上がり銘柄数は増加した方で、前引けでは、買い気配だったネットマークスを加えてもたったの5銘柄(値下がりは1700銘柄)だったのです。某市場筋氏によると、ブラックマンデー(1987年10月20日)時は値上がり7銘柄、米同時多発テロ直後(2001年9月12日)の日の値上がりは17銘柄だったとのこと。ブラックマンデーの時については、具体的な銘柄名は言えないけど、「7銘柄」は覚えていました(^^;。米同時多発テロの時は、ちょうど休暇中だったので、そこまで詳細は覚えていなかったですけど…。
● 最後の最後。寄付き前には鉱工業生産指数なんかもあったのですが、少なくとも株式関係者は、あまり見ていなかったと思います(^^;。私も全然中身は見ていなかったし、いまさらって感じもするのでパス。内容は本日夕刊か明日の朝刊で読みましょう!
2007年02月23日(金) .... 続伸、不動産・商社・鉄鋼などが引っ張る
TOPIX : 1814.96 (+12.06, +0.67%) | 日経平均 : 18188.42 (+79.63, +0.44%) | 円ドル : 121.50 |
● さすがに前場中は上値の重たさを感じたものの、後場に入ってからはジリジリと右肩上がりの展開。駆け上がる迫力は無かったものの、ジリジリと押し目らしい押し目を作らずに上昇する様子は、かえって凄みがあるようにも感じてしまいました。こういう相場は、一度出てしまうと再入場し辛いというか、本当にエントリーポイントが難しいです。上げ週の金曜日だし米国株式も今一つだったので、反落すると予想していた向きが多かったと思いますが、それをあっさりと裏切るあたりに、今の相場の強さがあるのかも知れません。
● 今日は軽~~く日経平均の日中足を付けておきます(出典:Yahoo! JAPAN Finance)。
● 物色は前場はともかくとして、後場は不動産やら商社が引っ張る展開。鉄鋼・重工も堅調だったし、非鉄も上向き方向。電力・ガスも強かったし、明らかに駄目だったのは、格下げを食らった損保、銀行(特にメガバンクが情けない)、医薬品ってところ。要するに動いている銘柄群にちゃんと付いていけば、それなりに乗って行ける感じ。ただし、この空気は文字通り一晩にして変わるリスクを秘めているのも事実。FM諸氏とお話ししていても、どうしてもリスク面に先に目が行ってしまうのは避けられない様子で、こればかりは実際にそのリスクがあるから仕方ないと言えば仕方ない状況。ただ、過剰流動性っぽいマーケットは、往々にしてそんな格好になるし、この警戒感があるからこそ、相場として長続きする面もあります。皆が熱狂的になれば、それが終わりへのカウントダウンの始まりですから…(^^;。
● 過剰流動性をバックアップしている要因の一つは、円安の継続とそれに伴う円キャリートレードがあります。昼飯時に某為替トレーダー氏と話をする機会があったのですが、彼いわく「円高を誘発するだけの材料も根拠も乏しい」と。また、「ボラティリティーが低下しているので、一気に円高に振れることが考え難い状況」とも指摘していました。株式市場としては、よけいに過剰流動性相場への期待感(^^;が高まってしまいます。もちろん、いつかどこかで反転するでしょうし、ある日を境に風景がガラリと変わることもあるでしょう。でも、まぁ、極端な話、道を歩けば頭上から鉄骨が落ちてきて怪我する心配があるからと家に閉じこもっているようなモノで、ゼロリスクなんて有り得ないのです。楽観的に(無責任に(^^;)、現状とお付き合いできるところまでお付き合いしましょう、という割り切りが必要なのかも知れません。リスク許容度は人それぞれですけど…。
● 今日の記録。今日の東証1部出来高は前日比4054万株減の29億5317万株、売買代金は逆に同1722億円増の3兆5491億円でした。金曜日だし材料的に盛り上がりそうではなかったところを考慮すると、かなり凄い活況が続いていることが分かります。なお、東証1部値上がりは1113銘柄、値下がりは490銘柄。今朝の「非公式」外資系証券寄付前売買動向は、ほぼチャラ(4590万株売り/4680万株買い)。ただし、市場筋によると金額は大幅買い越しだったとのことです。
● 話題変更。そろそろ3月SQに向けて、色々なことをする時期が近付いてきました。裁定買い残高は過去最高水準にあるだけに、ちょっと早い目に気にする方々が出てくる可能性もあると考えています。実際、最近指摘する声が増えている「対東証時価総額1%」に限りなく接近しているだけに、気になりだしたら、かなり気になる要因になります。3月ビッグSQなんて、まさにそのタイミングですもんネ(^^;。今のところは、強い相場に隠れる格好になっているので、その辺はそっとしておきましょう(^^;。
● とりあえず足元の現状把握としてBloombergで計算してみると、TOPIX先物の3-6月限月間フェアスプレッドは-7.46ポイント、日経平均先物の同フェアスプレッドは-61.93円と出てきました。金利ももちろんのこと、3月末配当分をどう予想するかによって、この水準は随分と変わってきます。ちなみに、日経平均先物の取引所での限月間スプレッド取引は-60円/-50円で、-50円を食っている状況でした。まだ出来高は薄いものの、来週後半、カレンダーが3月になる頃から取引が盛り上がってくると考えています。
● やっと週末(^o^)。この週末は図書館に行ってバブル時代の投資関連雑誌があるかどうか見てきます。ちょっと期待薄なんですけどネ…(^^;。良い週末を!
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